本日初日。
席数224の【SCREEN1】の入りは九割ほど。

クリスマス商戦のショーウィンドウに
「ルービックキューブ」が並んでいることから、
物語りの舞台は1980年代前半のアイルランドと推測。
1996年まで実在した「マグダレン洗濯所」での
クリスマスの出来事を綴る。
同所には婚外での性交渉により身籠った女性たちが集められ、
軍隊や施設から出された洗濯物の洗浄作業に従事した。
彼女等は食事と寝る場所はあてがわれるものの、
報酬もほぼ無く、
生まれた子供は養子縁組に出された。
過酷な労働は死者も多く、
度毎に施設内に密かに葬られる。
が、やがて人手に渡った施設の敷地から
多くの遺体が見つかったことで事態は明るみに。
国家も関与した、
一大スキャンダルへと発展した。
もっとも、地域住民の一部は、
気づいてはいたのだろう。
パブの女主人に、
それとなく口留めされるシーンがある。
「余計なことには首を突っ込まぬように」と。
主人公にしても、
薄々勘づいていたことを仄めかすシーンは幾つかある。
また「修道院長」からも、それなりの金額を、
目をつむることを条件に渡される。
石炭商の『ビル・ファーロング(キリアン・マーフィー)』は、
そうした少女たちの実態を知り義憤にかられる。
とは言え小さな街のこと、
住民同士はほぼ顔見知りで、
多くが彼の行動に奇異の目を向ける。
その行動の背景がよく理解できない。
子供の頃に実の母親を亡くした体験は
直接的には結びつかない。
葛藤を抱え、正義を行使する人との理解はできるものの、
何故にそこまで入れ込むのだろうか。
仕事から帰って来た時に、
洗面台で手を丁寧に洗うシーンが
繰り返し挟み込まれる。
それが修道院で行われていることを
明確に知った時に、激しさを増す。
皮が剥けるほどに強く強く擦る。
『マクベス夫人』の手洗いを想起するのだが、
それも彼のその後の行為と
直截的には結び付かない。
評価は、☆五点満点で☆☆☆。
原作も150ページほどの
中編らしい。
96分尺の小品にもかかわらず、
無駄なシーンや省略が多すぎる印象。
それでいて、主人公の行動には唐突感があり、
熟慮の末とは見えない。
寡黙さは美徳も、彼の突然の行いに振り回される家族には
いい迷惑だろう。