RollingStoneGathersNoMoss文化部

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東京五美術大学 連合卒業・修了制作展@国立新美術館 2024年2月24日(土)

 

もう47回目との案内。

五つの大学は
女子美術大学東京造形大学日本大学芸術学部・武蔵野美術大学多摩美術大学」。

展示室は【1A~D・2A~D】と屋外。

有料で開催されている”マティス 自由なフォルム”が隅に追いやられるほどの勢い。


会場内はかなりの入りで、知己は勿論
高校生の集団鑑賞も。

スマホやカメラを向ける人も
更に多くなっている。


そういったことの反映だろうか。
ひと昔前よりも、「映え」や「カワイイ」を意識した作品が、
特に立体やインスタレーション、平面でもイラスト系では増えている印象。

中にはモチーフがまるっかぶりのものもあり、
ちょっと拍子抜けをしてしまう。

こうした傾向は今後も続くのだろうか。


もう一つ驚いたのは警備員の多さ。
直近のアーチストに対するストーカー等の行為が背景にあるのだろうか、
例えば【1A】のスペース内でも常時二人くらいが巡回している。

元々、そういった方々とは無縁の場所だったことを勘案すると
かなりの違和感。

まぁ、このご時世では
仕方ないとも言えるが・・・・。

 

会期は~3月3日(日)まで。

POSTERS×FURNITURES@BAG-Brillia Art Gallery- 2024年2月11日(日)

「ポスターと家具の競演」とも書かれている。

 

 

【BAG+1】はそのものの展示、
【BAG+2】は関連するものも含め
ポスターの展示と即売。


やはり、タイトルにも示されている通り、
【BAG+1】での展示は面白い。

家具とそれに合わせたポスター、
加えてウイットに富んだ一言が
小さなカードにしたためられ
さりげなく置かれている。

三位が一体となり
思わずニヤリとする数々がどうにも楽しい。

家具は既製品だし、
ポスターも嘗てどこかで観た記憶のある既存品。

それを絶妙の間で結び付けるキーワードの絶妙さ。


会期は~3月31日(日)まで。


コヴェナント 約束の救出@TOHOシネマズ日比谷 2024年2月23日(日)

封切り三日目。

席数120の【SCREEN8】の入りは八割ほど。

 

 

「9.11同時多発テロ」発生後、
アフガニスタンに軍事介入したアメリカだが戦況は泥沼化、
二十年近く経っても終結の糸口は見いだせずにいた。

そして2018年。
ターリバーンの武器・弾薬を探索する部隊の軍曹『ジョン・キンリー(ジェイク・ジレンホール)』は
新たな通訳として『アーメッド(ダール・サリム)』を雇い入れる。
彼には成功報酬として、家族ともども米国ビザの発給が約束されていた。

しかし作戦の途中で二人を残して部隊は全滅。
深手を負った『キンリー』を連れ、『アーメッド』は米軍基地を目指す。

この逃避行の過程が相応の時間を割いて描かれる。

『アーメッド』は通訳だけではなく、戦闘員としても有能。
一方で上官の指図にも、自身が納得せねば従わぬ頑固さもあり。

が、結局は、彼の多くの機転と献身により『キンリー』は救われるのだが、
自分の身を危険に曝してまで米兵を救った理由は何か。
単に報酬が目当てなのか。

『アーメッド』は多くを語ることはなく
その心の内は判らない。


ここで思い出すのは
実話を基にした〔タクシー運転手 約束は海を越えて(2017年)〕。

高価な報酬目当てだったタクシー運転手が
雇い主のジャーナリストと行動を共にすることで
次第にその使命を理解し、最後は我が身の危険を顧みず
追っ手からの逃避を繰り広げる。

では彼のモチベーションも、単に高額の運賃だけだったろうか。


物語りの後半では、助け助けられの立場が逆転。

本国に戻り体も回復した『キンリー』だが、
米国が約束を履行しなかったため
『アーメッド』がターリバーンから懸賞金を掛けられ
今だアフガニスタン国内に潜伏していることを知る。

PTSDによるフラッシュバックに悩まされ、
『アーメッド』のビザを取るための交渉も思いに任せぬことから酒浸りになりながらも
私財を投げ打ち、再びアフガニスタンに赴く決意を固める。

このパートでは『キンリー』の心象は
かなり克明に描写される。


〔ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(1998年)〕や
シャーロック・ホームズ(2009年)〕の
撮影・編集で独特の文体を編み出した『ガイ・リッチー』だが
あまりに繰り返され過ぎて最近では辟易気味だったのも事実。

それを本作ではぴたりと封印、
かなりオーソドックスな撮り方に終始しており、
それが却ってリアルな戦場の空気を醸すのに奏功
(もっとも、BGMについては
変わらず『ガイ・リッチー』節)。


戦場を後にするラストシーンは、
プラトーン(1986年)〕と近似のシチュエーションも
カタルシスの点では段違い。

背景には、人を裏切らない「絆」の存在があるからだろう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


エンドタイトル前のテロップでは
真逆の現状が語られる。

2021年のアメリカ軍撤退時には、
通訳として協力したアフガニスタン人が(ビザを発給されることなく)
そのまま取り残されたため、多くは殺害または今でも潜伏しているとの実態。

実際の写真も映されるが、
彼等の顔にマスキングがされているのは
身元を明かすのを恐れた処理と思われ。

協力者を顧みない国家は、信ずるに足る存在なのか、と
強く投げ掛ける。

 

 

鉄道写真家 南正時作品展@鉄道歴史展示室 2024年2月11日(日)

後期の会期は1月30日(火)~3月24日(日)。

 

ブルートレイン夢の旅路へ”とのタイトル通り、
写真を中心に「ブルトレ」に関する文物も置かれているのは「前期」の通り。


この中で印象的な一枚が。

夜の暗闇の中の「ブルトレ」の光の軌跡、
天空には長い尾を引く「ヘール・ボップ彗星」。

ただ残念なことに、
一時に撮ったものではなくネガ合成だと言う。

これがリアルな一葉だったらどんなに素晴らしかろう、と
つくづく思う。


訪問当日は団体客が訪れており、
会場内はけっこうな混雑。

基本、空いている場所との認識も、
こうしたこともあるんだねぇ。

落下の解剖学@チネチッタ川崎 2024年2月23日(金)

本日初日。

席数191の【CINE10】はほぼ満員の盛況。

 

 

フランスの山荘に住む三人の家族。
ベストセラー作家の『サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)』、
夫の『サミュエル(サミュエル・タイス)』、
事故の後遺症で視覚障害がある息子の『ダニエル(ミロ・マシャド・グラネール)』。

ある雪の日、『サミュエル』が家の前で頭から血を流して死んでいるのが見つかり
自殺・他殺の両面から捜査を開始した警察は
殺人容疑で『サンドラ』を起訴、
そこから物語は法廷劇へとなだれ込む。

裁判官、陪審員、傍聴人の前で明らかにされる夫婦間の確執。
作家を目指していた夫の挫折とそれによる精神の変調、
息子が遭った事故の遠因、
妻の性的嗜好
家事分担の偏りや家計の内実まで微に入り細に入り暴露されていく。

また、こうしたスキャンダルが大好物なマスコミも好餌とばかりに飛び付き
報道を垂れ流す。


そんな中、法廷では検察側と弁護側で丁々発止のやり取りが繰り広げられる。

検察側の一番の弱みは直接的な証拠が何も無く、目撃者もいないこと。
「疑わしきは被告人の利益に」が本分であれば、起訴の妥当性すら疑わしい。
それでも裁判に持ち込んだ意図はどこに有るのか。

しかし状況証拠が積み上げられるうちに、
『サンドラ』のついていた嘘が暴かれ
グレーな印象を持たれ出す。

双方は互いに有利な証人を喚問し、
一つの事実は正反対の見方に綺麗に分かれる。

果たして真相は如何に、との
息が詰まるほどのサスペンス。

キモとなる法廷シーンはドキュメンタリーを観ているような
カメラワークとカット繋ぎで高まる臨場感。


とは言え、シンプルな法廷モノとは異なる側面を持ち合わせるのも本編の特徴。

男性が稼ぎ、女性が家庭を守るとの固定概念。
性差による役割分担の偏見が、捜査や起訴する側の念頭に有ったのではないか、
男女が逆であったら果たしてどう動いたか。

また、日本にありがちと(勝手に思っていた)検察の都合による起訴が
行われている事実。

検察側の証明も根拠の薄い推測に頼っているにも関わらず、
被告側の証言には声高に「憶測に過ぎない」と切って捨てる頑な態度、等。

無理筋は露呈し、しかしそれを引っ込めることはさらさらない。


抱える視覚障害の故、もっとも証人としての信憑性が低いと見られていた
『ダニエル』の証言が決め手となり、裁判は結審。

しかしその判決が真実であったのかは誰にも判らない。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


『ザンドラ・ヒュラー』の静かな態度の演技が
ひと際目を引く。

聞くところによると、
監督・脚本の『ジュスティーヌ・トリエ』は
彼女を念頭に当て書きをしたそう。

 

土門拳写真展-女優と文化財@ノエビア銀座ギャラリー 2024年2月11日(日)

 

「輝きは時代を超えて」との副題。


1964年からの二年間、
婦人公論」の企画で
女優さんたちと文化財を組み合わせ写真を撮り、
それに『土門拳』が文を添え掲載する、との。


それにしても改めて驚かされるのは
昭和の女優さんたちの煌めくような美しさ。

加賀まりこ』『岡田茉莉子』『吉永小百合』といった。


もう一つは、おおらかな時代だったのだろう、
国宝クラスの仏像に、近接して撮るだけではなく
女優さんが(手袋をしているとは言え)手を添えている一枚の驚き。

イマイマだったら、問題になること間違いなし(笑)。


会期は1月15日(月)~3月22日(金)。

 

花香る おおたの梅林~愛でられる花々~@大田区立郷土博物館 2024年2月17日(土)

 

都内に梅の名所は多く、
大田区内にも「池上梅園」や「梅屋敷」まで(笑)

本展のタイトルには「梅林」「花々」の文字が躍るも、
実際の展示の見所はポスターにあしらわれている
伊東深水』の{美人画}、
川瀬巴水』『高橋松亭』の{新版画}。

とりわけ{新版画}は
イマイマの季節らしい冬景色のものを多く、
次第に春を迎える様子を付け加え
季節の移ろいを感じさせる凝りよう。


勿論『広重』の{浮世絵}や、
モノクローム/セピアの写真の抑えで
江戸~明治~大正~昭和の景観変化の解説も抜かりなし。

こうしてみると、
今は無くなった場所や施設も多いのだなぁと嘆息。


かなりの展示数にもかかわらず、
空いているのは更に有難い。
ゆっくりと鑑賞ができる。

思うに告知が行き届いていないか、
タイトルからはこれだけの内容が読めない先入観からかも。


会期は1月23日(火)~3月17日(日) まで。

途中、展示替えあり。