封切り二日目。
席数319の【SCREEN6】の入りは五割ほど。

一種の予告編詐欺と言っても良いか。
それほどまでに告知は、
鑑賞者をミスリードさせる構成になっている。
もちろん、全てのシーンは
本編から印象的なピースをピックアップしている。
できあがったそれは
ナニゴトかが起きそうな不穏な空気を孕み、
事前期待を高まらせる。
加えて監督は
〔ヒメアノ〜ル(2016年)〕
〔愛しのアイリーン(2018年)〕
の『吉田恵輔』。
オリジナル脚本も兼ね、
当てにするなという方がムリだろう。
幼い頃の花火遊びが原因で、
アパートを全焼させ、一人を死に追いやった
『龍之介(磯村勇斗)』と『拓海(末澤誠也)』。
『龍之介』は全てを振り切ったように、
十五年後の今ではアーチェリーでオリンピックを目指す。
『拓海』は罪の意識にさいなまれ引きこもりになり、
社会復帰は果たしつつ、鬱々とした日々を過ごしている。
『拓海』がある日、被害者の『埜本(綾野剛)』と遭遇したことから
物語りは動きだす。
『埜本』は火事の際に妻を亡くし、自身も顔に火傷を負い、
今では独りで暮らしている。
なのに、『拓海』に向き合っても人懐こい笑顔を浮かべ、
おどおどする彼を逆に励ます。
が、鑑賞者は、『埜本』の優しさの裏には別の顔が潜んでいるのではないかと、
疑念を持つ。
この後に起きる(ハズの)惨劇の序章ではないか?との予感。
改めて顔を合わせた三人は、『拓海』の発案で、
往時の火事で焼け出された人を探し出し、
謝罪することを始める。
そこで予期せぬ事実が明らかになる。
何かが起きそうなシチュエーションに
剣呑なBGMは流れ、期待はいやがうえにも盛り上がる。
細工は流々仕上げを御覧じろ、だが
本編は思わぬ方向へ転がって行く。
罪の意識のあり方や贖罪、
人ごとに異なる向き合いがテーマの一つとなっているよう。
加害者の側も多くの犠牲を払っていることを
個々の背景としてさらっとは描く。
もちろん、本作で被害者が寛容に辿り着いた過程も。
当事者たちにはいずれも背負うモノがあるのだ、
とは言え、そもそもの要因がスクラッチされたときに
彼らは何を思うのか。
あるいは加害者が罪の意識すらなくしていたら
どう向き合えばよいのか。
司法の場でもたびたび挙がる問題を、
搦め手から見せるように製作者たちは提示する。
評価は、☆五点満点で☆☆☆★。
事実が明らかになり、
『龍之介』のアーチェリーの成績がふるわなくなるのは示唆的。
なにがしかの負の情動が、
テンションを維持するには必要との描写も、
タガが外れたのちの帰結が三様なのは面白い。