RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

オークストリートの異変@109シネマズ川崎 2026年8月15日(土)

封切り二日目。

席数89の【シアター8】の入りは九割ほど。

 

 

鑑賞時点の本国での評価は
「IMDb」6.6
「Metascore」68
なかなか微妙なライン。


『プラット』一家が住む「オークストリート」が
街ごと「中生代」にタイムリープしてしまう。

今から約一億年前の地球は恐竜が闊歩する時代。

街の人々は凶暴な生物たちの中に放り出され、
対決を余儀なくされる。

勿論、『プラット』家も例外ではない。
一家がどうやって過酷な環境を生き残るのか、そして
元の時代・場所(1980年代前半のアメリカ)に戻れるのか?の
ストーリー。


本作での新機軸は
タイムリープした跡がどうなっているか、を示したこと。

一連の出来事を場所や環境の等価交換と定義。
ある場所がまるっと過去に移動したのであれば、
現代には過去の同じ場所が移ってきている、と明示した。

その仕掛けが、幾つかの伏線の回収に効いている。


本編の尺は百分程度。

なので夫婦間の諍いや、
子供間の虐めの問題などは俎上には乗るものの、
深く立ち入ることはない。

とりわけ後者はとって付けたような挿話で、
何のために?と首を傾げてしまう。


{タイムリープ}モノの常として、
本作でも「タイムパラドックス」はある。

うち一つは看過できぬ流れも、
その後を描かぬことで、上手く処理をしている。

もう一つは、大団円でまぶし、
鑑賞者の考えが及ばぬように動線を引く。

なかなか、上手い造りと
感心してしまう。


ほぼほぼ徒手空拳で巨大な恐竜に挑む、との
アイディアも面白い。

銃社会のアメリカではあるが、
並みの武器で強大過ぎる敵に対峙する無謀さを
しっかりと描いている。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


登場する恐竜の形態や習性は
最新の研究結果を反映しているよう。

とは言え、少しの異変が大きな騒動に繋がる流れや
じわじわと恐怖を煽るような見せ方は、
類似の過去作と同様。

最後のエピソードも含め
既視感が満載。

折角、新しい見せ場を出してくれたのに
勿体ないことしきり。

 

若きル・コルビュジエの旅@東京藝術大学美術館 陳列館 2026年8月11日(火)

 

1887年生まれの『ル・コルビュジエ』が
二十代前半に欧州各国を歴訪した際のスケッチを
高精細の複製画で展示。

添えてあるQRコードを読み取れば、
現在の情景と対比可能な作品も。

壁には主宰者等の挨拶と併せ
作家が歩んだ長い道のりを地図に落とし込んだパネルも展示される。


この頃の欧州は1914年~の「第一次世界大戦」を前に、
既にきな臭さが漂っていたのでは?

作品はそれを感じさせない
作家個人の興味が見て取れる。


ギリシャのアクロポリス等の
有名な建築物があるかと思えば、
街中の建物もあり。

今なら、写真に収めるところだろうか。
関心の向くまま、対象を記録する。


会期は~ 8月16日(日)まで。

ゴースト・オブ・ウエノ@TOHOシネマズ上野 2026年8月11日(火)

封切り五日目。

席数103の【SCREEN6】は満員の盛況。

 

 

本作はロケ地となった上野に在る映画館で観る。
場所柄もあってか館内は満員の盛況。

ちょいと足を延ばせば「東京都美術館」、
「藝大」や関連施設の「es」も在り、
個人的には馴染みの土地。

「竹の台広場(噴水広場)」では
しょっちゅうイベントが開かれ、多くの人で賑わってはいるが、
直ぐ近くの「旧東京音楽學校奏樂堂」の傍では
団体による炊き出しや物品の配布も行われ、
これまた多くの人たち(本作で見られるような)が集っている。

異なる猥雑さが混交し、なんともカオスなエリア。
そうした場所でどんな物語りが紡がれるのか。


随分と昔に耳にしたようなタイトルではある(笑)。
とは言え、作品の方向性はまるっきり異なる。

ホームレスの『ゴージョー(原田文明)』が
ねぐらにしていたテントの中で亡くなっているのが見つかり、
遺品の整理に向かったソーシャルワーカーの『サツキ(門脇麦)』は
そこで日記を見つける。

彼女は残された日記の内容を手掛かりに
同じホームレスの『トシ(竹中直人)』と共に
『ゴージョー』の身元を追う。


関わりのあった幾人かに話を聞いても、
彼の人となりも過去も杳として判然としない。

『サツキ』の探索は業務の範疇を越えて行われるが、
それには彼女なりの理由がある。

『トシ』の記憶を頼りに、
嘗て住んでいたと思われる地方に向かうが
それも空振りに終わる。

万策尽きたと思われたタイミングで
予期せぬ情報が共通の知己からもたらされる。


『サツキ』然り『トシ』もまた然り、
主要な登場人物はなにがしかの喪失感を抱えており、
それを埋めることが行動原理となっている。

ましてやホームレスの人たちは、
空白を満たすことへの執着の度合いは強いだろう。

ある者は食べ物、
またある人は捨てたり断ち切ったハズの人との関係性であったり。


最後の挿話で、
予想だにしない事実が提示され、
『サツキ』は(観客も)言葉を失う。

もっとも『トシ』にとっては
自身の心の隙間を埋める
一つの手段だったろう。

事実を知らされても、
『サツキ』の気持ちは何ら変わらない。

これからも日々は、ただ流れるように過ぎていく。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


やはり失踪がテーマの〔砂の女(1964年)〕とは
異なる方向性。

とは言え、なにかしらに執着することは
通底するカギと思われ。

たとえそれが虚構であっても、
人が生きて行くよすがとなる。

 

星野道夫写真展@FUJIFILM PHOTO SALON Space1/2/3/MINI GALLERY 2026年8月10日(月)

【写真歴史博物館】以外の全てのスペースを使い開催中。

 

館内は多くの人で賑わっており、
ほぼほぼが中高年の女性。

タイトルに
”NANOOK ホッキョクグマ 氷原の静かなる物語”とあるように、
被写体は白いもふもふなので、
夏休み中のお子達が多いのかと思ったらそうでもなさそう。


作者の『星野道夫』は1996年に
ロシアで羆に襲われ、43歳の若さで亡くなっている。

本展を観ると、
身を隠す場所もない雪原で、
白熊を写している作品が多いのに驚く。

使用機材もそれなりだろうが、
これほど大写しにするには
どれだけ危険を冒し近接したのだろう。


とは言え、被写体からは
野生の獰猛さは感じられない。

あくまでも、もふもふの塊で、
触ればごろごろと喉を鳴らしそうにも見える。

とりわけ子熊はそうした外見。
ころころとして、
見た目からは野生の厳しさを感じられない。

もっとも、そうした作品を
敢えてセレクションしているのかもしれないが。


会期は~8月13日(木)まで。

KIM SONGHE EXHIBITION@スパイラルガーデン 2026年7月31日(金)

展覧会のタイトルは”愛と接続”。

 

 

展示されている作品の多くは「シャンデリア」。
会場の天井から吊り下げられており、
来場者はひたすら上を見上げて進む。

次第に首が疲れては来るものの(笑)、
作品の表現は多様、苦労も忘れてしまう。


素材もさまざま。
中には毛糸を使用したものも。

多くは雑多な既製品を寄せ集め作られているが、
解説を読むと素材はいずれも廃品とのこと。

中にはコレクターズアイテムと思しき文物もあり、
もったいないことだなぁと思いつつ、
作品のテーマに沿って構成するには
どれだけのストックが必要なのだろう、と
感じたり。


「シャンデリア」以外にも、
同様の素材群を平面上にコラージュした作品も並ぶ。

キッチュな見た目は楽しいのに加え、
自分が(今でも)持っているアイテムと同じものを
中に見つけると、なんだか嬉しくなる。


会期は~8月11日(火)まで。

映画ちいかわ 人魚の島のひみつ@TOHOシネマズ大井町 2026年8月5日(水)

封切り二週目。

それでも席数183の【SCREEN3】の入りは八割ほど。

メインの客層は小児とその保護者も、
自分のようなイイ歳した大人も相当数いるのは意外。

 

 

普段ならこの手の作品は
夏休みの子供向けアニメとの色眼鏡で食指も動かぬのだが、
本作は評判が良い。

多くの識者が、褒めている。

過去にも
〔嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲(2001年)〕
〔嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦(2002年)〕
などは世評につられ押取り刀で駆け付け、
笑って涙して劇場をあとにした記憶がある。

本作も同様に世評が高く、
「考察」も相当数披瀝されており、
それらの内容には関心ないものの、
多くの人の気持ちを動かす作品には興味惹かれる。


とは言え、事前知識皆無もいかがなものか?と、
主要なキャラクター等は、
さらっと予習し劇場に向かう。

同館では本編前の映画館マナーCM「ちいかわマナー講座」で
お馴染みではある(今回、上映はなかった・・・・)。


鳥が運んできたチラシに書かれている
「討伐で報酬」「限定ラーメンやスイーツ食べ放題」の言葉につられ
南の島にやって来た『ちいかわ』たち。

そこにはお馴染みのメンバーを含む多くの参加者が集まっていた。
もっとも、ミッションの具体的な内容を聞き、
ほとんどが逃げ出してしまうのだが。

討伐対象は島に居付く巨大な「セイレーン」と人魚。
「セイレーン」は付き従う三匹の人魚のうち一匹が行方不明になったことが
島民の仕業と決めつけ、その犯人を捜していた。

島民との対立はエスカレーションし、
両者は村の広場で対峙する。

『ちいかわ』たちの活躍もあり、「セイレーン」は島から駆逐される。
めでたしめでたし。


大まかな筋はこの通りも、
一匹の人魚が居なくなった背景には、
「人魚の肉を食べると不老不死になる」との言い伝えが関係する。

いわゆる「八百比丘尼伝説」で
『高橋留美子』の〔人魚シリーズ〕でもお馴染み。

〔人魚シリーズ〕では
肉を食べた誰もが不老不死になるわけではないリスクと
そののちの圧倒的な孤独感がテーマの一つ。

本作では孤独の回避と併せ、
身体に現れるある変化も一つの肝となる。


不死と孤独は一種の等価交換。

多くの人が望むことが
皮肉にも宿痾のもとになるとの教訓だ。


もともと島民たちとの関係はウイン=ウインだった。

まったりした食物が満腹になるまで提供される代替として、
「セイレーン」は植物を活性化させる能力を使い
島に豊饒をもたらす。

その関係が一匹の人魚が行方不明になったことで破綻し
敵対するようになる。

では、人魚がいなくなった理由は何かと遡れば、
そもそもは「セイレーン」の驕りがあったわけで・・・・。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


本編の九割では
『ちいかわ』たちの「セイレーン」討伐が描かれ、
残りの一割とエンドロール後に人魚消失の顛末が語られる。

尺としては僅かの時間も、
どちらが主題なのかは言わずもがな。

深い愛情が時として悲劇を招くことを、
如実に示してくれる。

 

富田菜摘 個展@Bunkamura Gallery 8/ 2026年7月31日(金)

タイトルは”WONDER MUSIC”。

 

並んでいるのは多くの生き物たち。
そのほとんどが、何かしらの楽器を抱えている。

楽器は、他の廃材の組み合わせではなく、
使用できなくなったそのものを転用。

ライオンや龍は躯体に合わせた大きさの
楽器を抱えている。

並んでいる個体数も多く、
楽器も多種多様なので、ここに在るだけで
楽団を結成できそう。


訪問日は作家ご本人も滞廊。

おそらく学校の後輩と思われる美大生からの問いかけに、
丁寧に応えておられた。


会期は~8月9日(日)まで。