RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

花まんま@チネチッタ川崎 2025年4月27日(日)

封切り三日目。

席数138の【CINE3】の入りは三割ほど。

 

 

もう一昔前の映画になるが、
〔スープ 生まれ変わりの物語(2012年)〕は
タイトル通り「生まれ変わり」をモチーフにした、なかなかの良作。

古くからの題材に、複数の捻りが効いた仕掛けを持ち込むことで、
笑わせて、泣かせてほろっとさせる良作に仕立て上げている。


で、本作。
「生まれ変わり」とは違った印象を受けるのは、
『加藤フミ子(有村架純)』が見ず知らずの他人の記憶を語るようになったそもそもが
冒頭に示されているからで、
生まれた子供に故人の記憶が入り込んだ、が
正しく思える。

とは言え、手垢のついた構図に変わりはなく、
ではここでの差別化は何かといえば、
徹底した{ヒューマンドラマ}化。


亡き両親、とりわけ父親から妹のことを託された
兄『俊樹(鈴木亮平)』がいる。
周囲も彼の境遇を理解し、なにくれとなく手助けをする。

片や結婚式を直前に控えた娘『喜代美』を不慮の事故で亡くした『繁田仁(酒向芳)』がいる。
勿論、彼を気遣う長女や長男は存在も、
あまり救済にはなっていない。

両者を『フミ子』が仲立ちをすることで、
二つの家族が再生する。


そのキーアイテムとなるのが
タイトルにもなっている「花まんま」。

「まんま」は「ご飯」を示す幼児語で、
元々は「飯事(ままごと)」から出ているらしいが、
ここでは「花」を手折って弁当箱に詰めたもの。

それが『仁』に亡き娘の記憶を呼び起こし、
二回の泣かせどころで効果的に使われる。

当然、鑑賞者の側も胸アツ。
場内の彼処からは鼻をススル音が・・・・。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


『繁田』家の再生は言わずもがな。
では『加藤』家のそれは何だろう?


『俊樹』の、自分一人で妹を育てた、
そのために多くの犠牲を払ったと
繰り返される自慢話は鼻につく。

一方、妹の身に起こった不思議に困惑し、
幼心にもそれを隠し抑え込もうとする態度には共感する。

とは言え、長じてもなを、妹をコントロール下に置こうとの態度は
自身の価値観の押し付け以外の何物でもない。


役割を果たしたかのように、
次第に薄れていく『フミ子』の中の『繁田喜代美』の記憶。

しかし、『俊樹』にとっての、
妹を守らねばならぬとの呪縛は解けないまま。
父親との自身だけが持つ記憶がプレッシャーになり、苦しめる。

それを一気にひっくり返す出来事がファンタジーなのは
少々興醒めも、終わりよければ全てよし
との言葉がこれほど当てはまる幕切れもそうはあるまい。