RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

バーバラと心の巨人@TOHOシネマズ川崎 2018年10月14日(日)

封切り三日目。

席数142の【SCREEN1】の入りは七割ほど。


イメージ 1



原作及び英題は〔I Kill Giants〕。
何故邦題に「心の」なんぞという余計な修飾語を入れてしまうかなぁ、と
強く憤る。

なんとなれば予告編とこのタイトルを見れば
オハナシの方向性におおよその検討は付いてしまおうというもの。

まぁそれでも
ホントに巨人はいて一般の人には見えていないだけなのだ、と
全ては『バーバラ(マディソン・ウルフ)』の妄想なのだ、と
両方の可能性がアリなので、さてどちらに転ぶのだろうと
ワクワクしながら展開を見守るわけだが。

で、実際の帰結はどうだったか?


本作の実態は、少女の自立の物語り。
そこに家族の事情が濃密に絡んで来る。

両親の姿は見えず、姉妹と弟の三人で
海辺の町に暮らす『ソーソン』家が舞台。

姉の『カレン』は弟妹の世話と仕事の軋轢で
著しく疲弊している。

弟はキレ易くいつまでも経っても子供っぽさが抜けないし
妹に至っては変人の域さえ超える奇矯な行動が目立つ。


さて、妹の『バーバラ』の造形は最初「サヴァン症候群」かよと感じつつも
どうやら違っているらしい。

が、特異な絵の才能や時として大人をさえやり込めてしまう弁舌は
かなりの特殊性を感じさせるのは事実。

また時としてパニックに陥ることから、
彼女が打ち負かすべき巨人とは、
てっきり自身の体の成長だとばかり思って観ていたのだが・・・・。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


モチーフは理解できるし、
現実への向き合いから目を逸らすやり方も人夫々なのは納得感がある。

しかし全てのエピソードが語られエンディングを迎えても
なんとなしの蟠りは残ったまま。

それは主人公の弱さが先に露呈され、その向けられる先が
あまりにも幼いコトが背景にあるようだ。

それに比しての手段が緻密に過ぎる為
どうにも全体のバランスが悪い。

もっとも、彼の国のティーンはより早熟との固定観が
自分にある為の勝手な思い込みかもしれないが。