RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル@TOHOシネマズ六本木ヒルズ 2018年5月14日(月)

封切り十一日目。

席数104の【SCREEN5】の入りは七割ほど。


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所謂実録もの。

それも事件の主要な登場人物各々にしたインタビューを
役者がそのまま演じ、更に
ドキュメンタリー風のパートと再構成したなかなかに面白い作り。

なのでここでも、第四の壁が意識された表現が随所に見られる。


それにしても本作、悲劇なのか喜劇なのか?

主人公をはじめとして、それを取り巻く周囲は
皆が皆エキセントリックで、頭の螺子が少々外れている印象。

学歴の低さ、職種が偏っていることも含め、
所謂白人の底辺層の人々による騒動がこれでもかと
繰り広げられる。

言葉遣いや態度も頗る付きの悪さだしな。


元々、氷上のスポーツにお金が掛かることは
ある愛の詩〕でも主人公二人の格差の象徴として
アイスホッケーが使われていたくらい。

それを乗り越えて、五輪で金メダルなど獲ろうものなら、
涙涙の成功譚なのだが、そうなっていないことは
我々の世代はリアルタイムで知っている。


襲われた方こそが『ケリガン』で
襲撃した方が『ハーディング』だとは
当時半ばギャグの様に語られたことだけど、
ジブンもこの映画を観る迄は、彼女が自ら手を下したのだとばかり勘違いしていた。

それほど、人の記憶はアテにならないし、
間違った思い込みをしていることは他にも多いのだろう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


保身や見栄の為に、嘘をつくのはままあることで、
主要な二人の人物の言い分が最早食い違っているように
どれだけ真実を語っているかの疑問は当然ある。

それを含めて製作者の側は、何れにも組することなく
得られた事実をそのままぽ~んと、観る側に放っている。

あなた達が、どうにでも勝手に取って呉れて構わないよ、と
いう風に。

それもまた善し。

僅か数年で激しい毀誉褒貶を経験した『トーニャ・ハーディング』は
まだ四十八歳で存命なのだし。