RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ゴールデン・リバー@TOHOシネマズシャンテ 2019年7月20日(土)

封切り三週目に突入。

席数190の【シャンテ-3】の入りは三割ほど。


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極めて異色の西部劇。

派手なドンパチはほぼほぼなく、
追う側と追われる側の心象がひたすら描かれる。

もっとも、オープニングロールでの製作者のクレジットを見た時に
気づくべきだったのだな、単調なウエスタン作品ではないことを。
アメリカ以外の国の会社が殆どを占めているんだから。

なのでそれを慮ったのであろう配給の「GAGA」は
フライヤーにも「一攫千金ウェスタン・サスペンス」なる惹句を散りばめ
意図的に観客をミスリードする粉飾を凝らしている。

これで生粋の西部劇ファンは呼び込めたかな?
そして満足したかしら。


主人公となるのは『イーライ(ジョン・C・ライリー)』と『チャーリー(ホアキン・フェニックス)』の
『シスターズ』兄弟。

二人は雇い主の依頼を受け、科学を駆使する山師の『ハーマン』を追う。

そこにやはり追跡者の『ジョン(ジェイク・ギレンホール)』が絡む。

ほぼほぼ四人しか登場しない性格劇。

そこでの各人の造形はなかなかに際立つ。


兄の『イーライ』は、その武骨な外見に反し、理知的でロマンチスト。
将来的にこうしたいとの展望もある。

弟の『チャーリー』はその端正な面立ちを裏切るように粗暴で刹那的。

残りの二人は共に、所謂インテリなのだが、
四人共通の肉親に対してのトラウマが実はある。

1850年代のゴールドラッシュに沸く西部を舞台としながらも
描かれているのは極めて現代的な家族関係、特に
父と息子の在りよう。


全体の3/4を占める追跡の描写の間に、過去の辛い記憶が
途切れ途切れに語られる。

一見冗長に感じられる編集には
夫々の想いを観る側に伝える意図があっての構成だったわけだ。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


こうした特異な構造になっているため、二時間の尺を費やしても
語り口はあまり良くない。

省略やモンタージュのを多用のため、観る側は
行間を埋めるのにかなりの想像力を働かせる必要が。


一方でそれが功を奏したのはエンディングのシークエンス。

暗殺者の目にも涙か、観ている側も
心が鷲掴みにされてしまう。