RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

モリーズ・ゲーム@TOHOシネマズ六本木ヒルズ 2018年5月14日(月)

封切り四日目。

席数131の【SCREEN3】の入りは二割ほど。


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冒頭から小気味の良い語り口。

ととととと~ん、と
ものの数分で『モリー・ブルーム(ジェシカ・チャステイン)』の人となり、そして家族
わけても父親との葛藤、そして彼女がなぜ今の立場に立たされているかが
すとんと理解できてしまう。

と同時に、観客は物語世界の中にぐっと引きこまれる。

ほんの数年前に刊行された自伝を原作としているとはいえ、
その脚色の術が上々なわけだ。


本編自体は二時間を超えるやや長尺。
登場人物たちは速射砲の様に会話する。

それでもその長さはまるっきり感ぜず
緩急の配分も良く、緊張は最後まで持続する。


さて『モリー』の「ゲーム」である。

主催する闇のポーカーそのものを指すのは勿論、
そのスキームを維持・拡大していくことそのものが
彼女にとってのゲームであるのだろう。

本来兼ね備わっている素養を駆使し、スポーツで鍛えた体力が加われば
もう鬼に金棒。
かなりの全能感を感じられるのではないか。

主人公の心理的な背景も語られはするけれど、
ホントかな?とそちらの方にこそ首を傾げてしまう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


とは言うものの『モリー・ブルーム』、イイ人過ぎ。

ポーカーの参加者が負け続けるとそれとなく気を遣うし
顧客の名前を明らかにすることは
司法取引をちらつかされても一顧だにしない。

あまりにも正義派過ぎて、(勿論、自伝で
自身のことを悪くは書かないだろうが)少々鼻白む。

屈原』じゃあないけれど、「清濁併せ飲まない」人の末路は悲しいのが
世の常のハズなんだけどなぁ。