封切り二日目。
席数138の【CINE3】の入りは九割ほど。
2021年公開の〔JUNK HEAD〕でも
天上から降りて来たモノが騒動を巻き起こす。
それは本作とて例外ではないし、
不思議なコトにそれ以外の点でも
かなり近似のテイストを感じる。
グロテスクなクリーチャーは共通、
加えてこちらにはエロチックさとスカトロジーも満載。
先の作品はストップモーション・アニメーションであったのが、
実写も付加した構成。
そして何より、起承転結の明快さが無く、
悪夢とでも言うべきダークなシーンが、
ただひたすらに繰り返され、
神経を刺激する音を多用の特徴も。
84分の短尺でありながら、
思わず目を背けたくシーンが満載で
描かれている密度は相当に濃い。
おそらくは、
作者の『フィル・ティペット』の視た夢が原案と思われ、
であれば、あまりに奔放な展開にも頷けようというもの。
惑星直列は起こるわ、
ビックバンらしき描写はあるわ、
「モノリス」はびゅんびゅん飛ぶわで、
も~やりたい放題なのは確か。
そんな中でも
搾取する側とされる側、
理不尽に支配する側とされる側の、
ディストピアだからこそ強調される構造も
しっかりと描写され、
ああ、これは現実社会の投影なのだなと思ってしまう。
ストーリーが進むに連れ、
複数の「神」らしき存在が現れ、
しかしあっさりと裏切るように
より高次の存在が出現し、下位者をいとも簡単に捻り潰す。
力による支配のエスカレーションに怯えるとともに、
これもイマイマの世界の縮図と思えて仕方ない。
地下の暗黒世界に送り込まれた戦士のミッションは
たぶん、そこを破壊することにあろうも、
過去から何十度繰り返されても
けして成就することはない。
それどころか却って、
新しい混沌を生み出してしまう源泉になる
何とも皮肉な構図。
これも現実社会でまま起きていることではある。
評価は、☆五点満点で☆☆☆★。
全てのキャラクターに感情移入を許さぬような、
ただただ腐敗臭が漂う世界観。
恐怖感が限りなく重畳し、
幾つかのシーンを思い起こしただけでも胸焼けを起こしそう。