RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ@チネチッタ川崎  2021年10月3日(日)

封切り三日目。

席数488の【CINE12】の入りは五割ほど。

f:id:jyn1:20211004072807j:plain

 

言われてみれば改めて気づかされる、
「007」は「殺しのライセンス」を与えられた証であり、
本来的には特定の個人を指すものには非ず。

ところがあまりにも嵌っているため
「001」から始まり、十を超える発番がされているハズなのに
James Bond』しか居ないような気にもなっている。

本作ではそれに纏わる会話が幾つか交わされる。
彼が長期に渡る不在をしている間に、他の人間がその番号を受け継いでおり、
永久欠番ではなく、ましてや人物を選ぶわけでもないことをネタにした。


思わず微苦笑を浮かべてしまうのだが、
ダニエル・クレイグ』が主役を演じるようになった直近五作は、
「00*」のライセンスを得た経緯から始まり、
妻にと約束した女性を失い、その復讐(?)を果たし、
また「スペクター」とのかかわりは彼の幼少期から始まっており、
更には愛を交わす新たな女性に再び巡り合い、と
随分と人間臭いし、言ってみれば一代記のよう。

従来の血沸き肉躍るが主体の表現よりも
ドラマ的な描写がより多くなっている。

その流れから行けば、本作の帰結は〔ノー・タイム・トゥ・ダイ〕のタイトルからも
ある程度は想定できるものの
これほど哀切に満ちたラストシーンは嘗て有っただろうか。

{スパイアクションもの}にもかかわらず
思わず胸が熱くなるような。


ダニエル・クレイグ』も当年取って53歳。
鍛え上げた肉体は見事だが、ぼちぼちアクションをこなすにはきつい年齢か。

もっとも『ショーン・コネリー』は同い年で〔ネバーセイ・ネバーアゲイン〕を演っているし、
ロジャー・ムーア』は〔美しき獲物たち〕の時に57歳だったことを考えるとまだまだできそうな気もするが。

なのでそれ以外の理由もあるのだろう、今回を最後に降板の背景には。


それらを併せてみるに、エンドロールの後に示される一文は
随分と示唆的。

「007」ではなく「James Bond」と明記されている。

誰がどんな登場の仕方で新『Bond』を演じるのか?
興味は尽きない。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。