RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ペイン・アンド・グローリー@TOHOシネマズ錦糸町 2020年6月20日(土)

封切り二日目。

席数212の【SCREEN11】は現状106席程度の案内。
客の入りは更にその半分ほど。

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悍ましいもの、美しいもの。
時として記憶は人を苛みまた癒す。
転落への契機にもなり、一方では立ち直りのよすがにも。

囚われ過ぎず、しかし真摯に向き合った時、
人はどう変わって行くのか。


初老の映画監督『サルバドール(アントニオ・バンデラス)』は
世界的な名声を得ながらもしかし
作品を撮らなくなって久しい。

自身の体調不良に加え、最愛の母を無くしたことで
心身ともに疲弊し、半ば隠遁者の日々を過ごしている。

が、外向きには書かない撮らないと表明しつつ、
昔の体験を基にした脚本ともモノローグともつかぬ小品を
営々と書き綴っている。


そんなの彼の元に
過去作品のリバイバル上映に併せたティーチイン登壇への依頼が届く。

主演男優との諍いで不本意な出来と拒否感の強かった一本と
年月を経て改めて向き合ったことで
彼の中に新たなざわめきが蠢動する。


レイティングが「R15+」となっているのは
男性のちんちんが見えるからではなく、
麻薬を摂取するシーンが頻出するからのよう。

しかしこの行為こそ
主人公が過去と向き合うきっかけとなるのだから
表現的には不可欠。


ペネロペ・クルス』演じる美しい母親との日々、
思いがけず訪れた性への目覚め。

辛い記憶は全て言葉で語られ、美しい想い出が
映像によるカットバックで挟まれる。


主人公の心の機微を繊細に表現した
アントニオ・バンデラス』の演技も上々。

取り立てての山場がある訳ではないものの、
観終わった後では柔らかな幸福感に包まれる。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


監督自身の体験と思われる映画に対する記憶が語られるのは
ニュー・シネマ・パラダイス〕と同様。

先の作品も、主人公の名前は《サルヴァトーレ》だったことを
思い出す。