封切り二日目。
席数118の【シアター3】の入りは六割ほど。
帝大の法学部で検事を目指していたほどの利発な男が、なぜ
「ノビ師」と呼ばれる家人が寝静まった頃を見計らい侵入し
現金だけを抜き取る窃盗犯に堕してしまったのか。
その男、『真壁修一(山崎まさよし)』が現行犯逮捕された時に
忍び入った家の中で何を見たのかそしてその場に
刑事で幼馴染の『吉川(竹原ピストル)』が居合わせたのはどうしてか。
二十年の刑期を終え『真壁』が出所した後で、
殺人や暴行事件が次々と起きるのはなぜなのか。
物語りは、この大きな三つを主軸に
それ以外の小さな謎を絡めながら展開する。
伏線は蜘蛛の巣の様に縦横に張り巡らされており好感が持てる。
一方で語り口は流暢ではないし、二時間弱の尺に多くを詰め込んでいるので
相当に判り難い。
科白が(日本映画に多い瑕疵だけど)かなり聞き取り辛いのも
それに輪を掛けている。
が、鍵となる点は二つ。
舞台は意外と狭い街中での出来事なのと、
肉親間の関係性が悲劇を招くということ。
何れも閉塞さが大きな要素。
しかし全ての種明かしがされた後に感じるのは、
その素因の小ささと不自然さ。
『真壁』の事情にしても
現在で起きる事件にしても
モチベーションが弱く、ちょっと首を傾げてしまう。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。
それでもある程度の評価ができるのは
主役となる人物の造形の魅力。
ここで先に挙げた狭い範囲での出来事との設定が生きて来る。
盗人なのにもかかわらず、幾多の人が彼を助ける理由にもなっている。