RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

少女@109シネマズ木場 2016年10月10日(月)

封切り三日目。

席数141の【シアター5】の入りは二割ほど。


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「見たい。人が死ぬとこ」とのあざといキャッチが前面に出され、
ややおどろおどろしさも感じさせる予告編や宣伝の造り。

本編中も同様の科白が繰り替えされ、
確かにそれは作品の構成要素ではある。

ただ殊更に、額面通りに受け取るのはちょっと違うんじゃないかと、
もどかしい思いにもとらわれてしまう。


幼馴染の『由紀(本田翼)』と『敦子(山本美月)』は
事情は異なるものの好きだった剣道を諦め、共に今では
クラスの中でも違った意味で浮いた存在。

パニックになると過換気を起こしたり、
常々自身の死を意識している共通項もある
(それは彼女等が水の中に沈んで行く等のイメージを度々見せることで理解される)。


前半は、二人が何故そのような「他人の死を見たい」との思いに到ったのか、
過去のいきさつ、或いはイマイマの状況が散文的に語られる。

ちょっと見、脈絡の無いエピソードの積み重ねで
その間に先のイメージ(=自分の死)が繰り返し挟み込まれるものだから、
これは映画じゃなく舞台の方が良かったんじゃね?と思い始めた矢先、
(死を見る方法として)夏休みの間に選んだボランティアで
異なる場所に赴くあたりから物語りがぎゅっと収斂して行く。


それまでは何の関係も無いように見えていた出来事が全て
やり過ぎと思えるほど綺麗に連環しラストのシークエンスになだれ込む。

観客の側の勝手な思い込みを逆手に取った仕掛けもあり、
素直に告白すると、何度もエッと思ったし、
巧いなぁと感嘆の声を上げた。


ストーリーの底に在るのは因果応報の考え方。但し、
宗教的なものとは別に、あくまでもオハナシを繋げる手段として
都合良く使われているのだけれど。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


作品の主軸はミステリー。そして、
他人の死を身近に経験することで
二人の少女が過去の頸木から解き放たれ、
十七歳を卒業し十八歳への階段を一つ登る、
蛹のように皮を脱ぎ捨て、
変って行くさまの流れがもう一つの主題。