RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

アイネクライネナハトムジーク@TOHOシネマズ日本橋 2019年9月21日(土)

封切り二日目。

席数110の【SCREEN2】は満員の盛況。

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アイネ・クライネ・ナハトムジーク」を「wiki」で確認すると
「小夜曲」の意と書かれており、
なるほどそれで、本作の事件はどれも
図った様に夜に起こるのだなと了解される。

また、
制作時には五楽章あったものが二楽章目が散逸したため
現在は四楽章で演奏される、ともあり、
それを踏まえ四組(と、もう一組の)の男女の恋愛模様が描かれる
頗る凝った構造になっていることにも引き当てられる。

それ以外にも同じ科白や要素を、人や世代を変えて使いまわすのも、
音楽で同じ旋律が繰り返し出て来ることの
巧い引用とも思われる。


もともと『伊坂幸太郎』原作ものの映画化は、〔オー!ファーザー〕を除けばどれも
基本的に粒揃い。

特に登場人物間の緻密な関係性構築については、何時も驚かされるばかり。

それは本作とて例外ではなく、
張り巡らされた蜘蛛の糸のように
人物の相関が綺麗な円環として纏り、
観終わった後は胸がすく爽快さが残る。


ことほど左様に仕掛けは良く出来ているものの、
盛り込まれている鍵となる出来事はかなり陳腐で残念な要素。

他の人の事の成否に自分の恋愛の成就を仮託するとか、
走り続けても追いつかないバスとか
既視感は満載。

何時も通りの仙台という場を舞台に
五組の男女に入れ替わり立ち代わりスポットライトを当てるスタイルも
主旋律が見えづらい散漫さの基に。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


それでもモチーフとなっている
男女が出会い繋がるエピソードがどれも
優しいまなざしに根差しているのが大きな救い。

観ているこちらの気持ちも
ふうわりと柔らかくなうような。