RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

殺さない彼と死なない彼女@TOHOシネマズ錦糸町 2019年11月17日(日)

封切り三日目。

席数223の【SCREEN4】の入りは五割ほど。

原作の信奉者だろうか、それとも出演者のファンか、
若い女性が複数人連れ或いはカップルで来ているのが主体の客層。

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「死ね。殺すぞ」が口癖の『小坂(間宮祥太朗)』と
なにかにつけて「死にたい」と口にする『鹿野(桜井日奈子)』の緩やかな触れ合い。

幼稚園からの幼馴染の『地味子(恒松祐里)』と『きゃぴ子(堀田真由)』の女同士の友情。

『地味子』の弟『八千代(ゆうたろう)』と彼を好きでしょうがない『撫子(箭内夢菜)』の淡い交際。

三組の挿話が散文的に綴られる。

ここでの夫々のシチュエーション設定と会話が頗る面白い。

でもそれは、がははと爆笑することはないものの、
くすくすとの忍び笑いが継続するような描写。


原作は『世紀末』による四コマ漫画と聞く。

最初は〔セトウツミ〕や〔けいおん!〕などの会話の妙で成立させる作品との
類似点を想起したり。


ところが後半に差し掛かると、ストーリーは大きく転調。
それは予期してもいなかった展開も、後々思い返せば伏線はしっかり張られている。

姉弟がいることと、高校がどうやら同じであることを除けば
先に挙げた三組の関わりは殆ど無いものと思っていたのに、
実はひとかたならぬ結びつきがあることが披瀝される。

そののちに描かれるのは、互いのことを大切に思う胸が苦しくなるほどの熱い気持ち。

会話が余りにもさらっとし、しかもユーモアに満ちていたことに目くらましされ
潜んでいる本質に最後の段になって初めて気が付きそして涙する。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


軽い気持ちで劇場に足を運び
中途までは軽妙な会話に楽しんだのに
突然の出来事に唖然とし、最後には
人の優しさに触れて未来の希望を確信する。

性や世代に関係なく相手を思いやることの大切さに改めて気づかされる。