封切り二日目。
席数89の【シアター8】の入りは七割ほど。
子供の頃に見た怪奇マンガはホントに怖かった。
あまりに恐ろしすぎてトラウマになるくらい。
『古賀新一』や『楳図かずお』だが、特に後者の〔へび少女〕や〔猫目小僧〕は
読んだその夜には、独りでトイレに行くのがとってもムリ。
アニメであれば〔妖怪人間ベム〕。
特に〔悪魔のろうそく〕や〔古井戸の呪い〕の回などは、今思い出しても
不気味さがこみ上げて来る。
時代的に許容された背景もあろうが、イイ歳をした大人が
子供達をガチで怖がらせようと心血を注いでいた頃。
それに比べると昨今、表現の手法は随分と向上したものの、
根源的な部分では往時にとっても及ばないと、いい歳をしたおぢさんは感慨を持ってしまう。
で、〔地獄少女〕である。
イマ旬の『玉城ティナ』が出ている、それだけが理由で足を運んだ一本。
客席を見回すと、同様の思惑の人がどうやら多そう。
でもそういった人々にはかなりがっかりな内容。
なんとなれば、クレジットこそはイの一番にされてはいても
主役でも狂言廻しでもなく、出番そのものがとっても少ない。
落胆必至の時間配分。
オマケにそのシーンもわらべ歌を怪しげに唄うだけで
動きもほぼなく、相当に羊頭狗肉。
加えて設定そのものが宜しくない。
『玉城』演じる『閻魔あい』=『地獄少女』がかなり早い段階から
狂言回しである『市川美保(森七菜)』の周囲に現れる。
眷属の三人についても同様ながら、
基本呼ばれなければ出てこないハズなのに
なんでそう簡単に姿を見せるの?
何かの伏線かと思いきや、最後までまるっきり回収される気配なし。
そして一番の問題は、ホラーのはずなのに全然怖くないこと。
この種のカテゴリガーが嫌いな自分が
(『玉城』見たさに)意を決して来たのに
拍子抜けするほど。
なので、この手の作品を多く撮っている『白石晃士』は
いったい何をしたかったんだろうと、訝ってしまう。
まさか、劇中でチャラいJKが口にする
「人を呪わば穴二つ」とか「因果応報」とか説教臭いテーマじゃないよね?
そう思わせてしまうのは、人を呪詛するモチベーションがどうにも弱く思えるのが根源。
事前に永劫に続く地獄の責め苦を疑似体験させられ乍ら、
いとも簡単に行動を起こす納得度合いが頗る薄い。
評価は、☆五点満点で☆☆☆★。
作中でもっとも恐ろしかったのが
眷属の一人である『輪入道』を演じた『麿赤児』の表情と所作なのはどうにも皮肉。
あの顔が暗闇からぬっと出てきたら、
心臓の弱い人ならその場で昏倒しかねない。