RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ブラック・クランズマン@TOHOシネマズ新宿 2019年4月1日(月)

封切り十一日目。

席数122の【SCREEN11】は満員の盛況。


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冒頭例によって「実際に起きた出来事をベースにしている」旨の一文が出され
本編が始まるのだが、件の文章は随分と汚い口語調。

少々訝っているとそれは後々の、言葉による騙しの予兆であったことが判って来る。

しかしこのあたりの差異は、日本人にはちと理解し辛いよね、字幕は
なんとかそれを補ってくれようとしているのだけれど。


加えて、物語中に頻出する数多の人物の名前等も
半分も知っていれば上出来じゃないだろうか。

アメリカ本国でなら何れも共通言語として
理解の範囲内なのだろうが。

なので我々は鑑賞にあたって最初からかなりのハンデを抱えている状態。


じゃあそれで本作の持つ特有の面白さが大きく損なわれるかと言えば
そこは大丈夫。

黒人を一番に、ユダヤ人を二番に嫌う「KKK」を
その出自を持つ二人の刑事が組んで
数ヶ月に渡ってまんまと一泡吹かせまくる面白さと、
何時バレるんじゃないかとのドキドキ感は格別。


が、やはり本質は社会派監督である『スパイク・リー』の面目躍如、
相当にほろ苦い後味が待っている。

要は四十年前も今も米国の実態はさほど変わっていない。

差別主義者はそこかしこに蔓延する。
いや逆にこの二年で、事態は更に悪化しているのかも。


アメリカ・ファースト」とか
「美しい(白人の)国を(我々の手に)取り戻す」などの科白が声高に繰り返される度毎に
分断の度合いは一層酷くなる。

此処ではエンドロール直前に実録のフィルムが流されることで、
その思いはより強くなる。


でもなぁ、同様のコトが起きているのは彼の国だけに非ず。

「美しい※※を取り戻す」はどこかの国の宰相の決め科白でもあり、
あれそう言えば昨今、色んな場面での対立が更に深まっているのは気のせいかしら?


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


エンドロールでは主要な二人の人物への
ヒアリングも含めた)謝辞がクレジットされる。

この出来事から四十年、両者共にしっかり存命ってことだろう。

そんな彼らは今の時代をどんな風に見ているのだろうか。