RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

アイアムアヒーロー@チネチッタ川崎 2016年4月23日(土)

本日初日。

席数244の【CINE 7】は九割方の入りで盛況。

「R15+」指定と言うこともあり
客層は高めに振れているが、
これ程観客の劇場に来る理由がばらけている作品も
珍しいんじゃないか。

主演女優の二人、主演男優、原作、ゾンビもの、
そして単純に映画好き、と。


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探偵はBARにいる〕で、
日本らしいハードボイルドの新しいカタチを提示した『大泉洋』が
本作では全く新しいヒーロー像を体現している。

それは要は、ヘタレであること。
徹頭徹尾ダメ男で、観ていて歯痒くなるほど。

でも考えてみれば、これこそが当たり前。
突然に超常的なチカラを発揮する方が
おかしなハナシ。

あくまでもフツーで押し通すことが
プロットに斬新さを与えている。


若い頃に漫画で新人賞を獲ったものの
その後は鳴かず飛ばずで、今ではアシ生活。

出版社への持ち込みも鼻であしらわれ、
名前さえ憶えて貰えない。

挙句の果てに、同棲相手からも三行半、
部屋から追い出される始末。


危機に陥っても、それは変わらない。
ひたすらあたふたし、謝り続け、逃げるばかり。
何時になったら決然として立ち上がってくれるのか、
観客は固唾を呑んで見守り続けるのだが・・・・。

それでもやっぱり、彼はヒーローなのだ。

『大泉』の気の弱そうな側面が十全に発揮され、
有村架純』『長澤まさみ』の二枚看板を
完全に喰ってしまっている。

ましてや前者は、今乗りに乗っているのに
輝きが霞んでしまうほど。

そう、これはやはり『大泉洋』の為の一本なのだ。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆☆。


基本的には「ゾンビ」ものの骨法をキチンと押さえているので、
その方面での楽しみも付加される。知識があるほど楽しいし。
あと〔エクソシスト〕とかもね。

そして〔ワールド・ウォーZ〕のような唾棄すべき作品とは一線を画す
スリル溢れる一本になっている。

特に、変にCGに頼らず、特殊メイクの人間を大量に動員したことで
緊迫感に満ち満ちたシーンが連続するのは素晴らしい。

カーアクションのシークエンスも上々。
合成の技術はイマイチだけど、スピード感と
車が豪勢に壊れて、
やればできるんじゃん日本映画も、と妙に感心したり。


それにしても、笑い処は都度都度あるのに
なんでかしら場内にはくすりとの声さえ上がらない。

独り笑っている自分が、なんだか浮いた存在になってしまった。