RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

オペレーション・ミンスミート-ナチを欺いた死体-@TOHOシネマズ日比谷 2022年2月26日(土)

封切り九日目。

席数98の【SCREEN6】は満員の盛況。

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イアン・フレミング』が第二次大戦中
実際に英国の諜報部員だったのは有名なハナシ。

その時の体験を基に
〔007シリーズ〕を書いた経緯も、
嘘か真か本作では、標題の作戦に関わったうちの一人として登場。

『M』や『Q』、そして「秘密兵器」を思い付いたエピソードが
ストリーとして加えられている。

また、本筋でも、
作戦そのものに影響を与えた人物としているが、
さてホントのところはどうなんだろ?


さも重要な情報を携帯している様に偽装した遺体を敵側に捕獲させ
間違った情報を掴ませ
判断を誤らせる一連のオペレーション。

何とも荒唐無稽に思えるが、
大きな嘘ほどバレ難いと、世に言うではないか。

もっとも、それに信憑性を与えるため、
罠は綿密に張り巡らされ、その過程が見どころの一つ。


昨今では、創作物の登場人物に
詳細なキャラクター付けをするのはもはや常識。

それを八十年の昔に
微に入り細に入りやってのける経緯が
ここでの見せ場。

その過程でまた別のサイドストリーも生まれるのだが、
そちらはあくまでもフィクションと見た方が良いのかな。


その帰結は既にして、我々は歴史の一部として知っているのだけれど、
物語上の成否がどうなるのか、観客は仕掛けた側の主要人物と共に
はらはらしながら見守ることになる。

もっとも、幾つかの僥倖にも恵まれた
この作戦の成功による1943年の「シチリア侵攻」だけで
欧州での大勢が決したわけでは非ず。

あくまでも橋頭堡を築いたに過ぎず、
本格的な攻勢は一年後の「ノルマンディー上陸作戦」を待つのだが
その際にも数多くの偽装は行われており、
一端の幾つかは〔史上最大の作戦(1962年)〕でも描かれている通り。

とは言え、鮮やかさと仕掛けの精巧さの点では、
やはりこちらに軍配が上がるのか。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


その名称を、「mincemeat=ひき肉」にするとは、
イギリス人らしいユーモアとも思えるが、
それをぐいっと丸呑みさせられた側からすれば
たまったものではないだろう。