封切り三日目。
席数488の【CINE12】の入りは三割ほど。
冒頭、タイトルの下に小さく
「part one」の文字が表示され
思わず仰け反るとともに、
まぁそうだよなぁと納得もする。
思い出されるのは『デイヴィッド・リンチ』による
〔デューン/砂の惑星(1984年)〕。
リアルタイムで観ているわけだが、
137分の尺に詰め込まれたそれは、
とても映画の体をなしておらず、
質の悪いダイジェスト版の趣き。
ストーリーを何とか追えはするものの、
飛び飛びのエピソードの羅列で
明らかに失敗作と断じてしまえる一本。
翻って本作、
155分の長尺ながら
原作の第一巻の半分ほどしか取り上げられてないのでは。
たぶん二部構想と思えるも
それでもディテールの多くは省略されてしまっているようで
行間を読む想像力も必要とされる
ある意味、鑑賞者を試すような一本。
もっとも意図的かどうか造りそのものも不親切で、
件の砂漠の惑星の名称ですらアラキスと示されるのはその最たるもの。
惑星間航行に不可欠なスパイス(香料)がメランジとも表現されたり、
サンドワーム(砂虫)=シャイ・フルドであったり、
ベネ・ゲセリットは実は女性種族の呼称であったり、と
原作を読んでいないと混乱することしきり。
脳内でそれらを悉く変換しながら鑑賞する作業は、
なまじ上映時間が長いために、精神的にも疲弊する。
今回の騒動の背景もさっぱり説明されないし。
物語り自体は典型的な貴種流離譚。
血と才能に恵まれた若者が、しかし
艱難辛苦を味わい、やがて覇道に向けて動き出す。
今回はあくまでも序章だが、
そのスペクタクル感は流石『ドゥニ・ヴィルヌーヴ』と思わせる。
ロケ地を各国に求め、CGも多用、
制作費を潤沢に使った豪勢な雰囲気を存分に味わえる。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。
母と息子で砂漠を彷徨うシークエンス等、
時として冗長さを感じる場面はあるものの
全体的には許容範囲。
あとは当年取って25歳の
主演を務める『ティモシー・シャラメ』の外見があまり変わらぬうちに
次作を撮りきってしまうのが課題だが。