RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

約束の宇宙@TOHOシネマズシャンテ 2021年4月18日(日)

封切り三日目。

席数224の【シャンテ-1】の入りは三割ほど。

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なんとも珍しい宇宙に行かない{宇宙映画}。

しかしそこまでの過程は、過去のどんな類似作よりも
仔細に描かれる。

例えば〔ライトスタッフ(1983年)〕でも
パイロット達の訓練の模様は目の当たりにできるも、
本作では関連機関の全面協力のもと、
それらがより丁寧に描写される。

同作では謎の場所に近い表現であった
旧ソ連の「スターシティ」ですら、
あっけらかんとカメラが入り
我々はそこの様子を手に取るように理解する。


そしまた、〔ドリーム(2016年)〕でも取り上げられた
女性であるが故の困難さも同様に(主人公は黒人ではないけれど)。

自身が幼い頃から憧れた宇宙飛行士になる夢を叶えるには
己の努力もさることながら、周囲の協力は不可欠。

が、幼い娘を独りで育てる『サラ(エヴァ・グリーン)』の場合は
母親は既に亡く、頼れるのは離婚した夫のみ。

試験に合格はしたものの、日々の訓練をこなすことさえ並大抵ではない。

三週間の隔離された環境での訓練であればまだしも、
半年にも及ぶISSでの滞在ならどうなるのか。

件の娘には学習障害があることも不安を助長する。
夫の元に預けることで、教育環境も変化するだろう。

しかし後ろ髪を引かれつつも、彼女は夢の実現に邁進する。


ここで描かれるのは、困難を乗り越える意志の強さと、
それを支える家族の絆、そして結果として得られる各人の成長。

が、孤軍奮闘しながら子供を育てる
ひとり親世帯の全てに共通の課題なのは自明。

宇宙を目指すとの設定はドラマチックさを盛り上げるための仕掛けの一つで
例えば日本であれば南極観測隊でも条件は類似だろう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


エンドロールと同時に、過去に宇宙へと行った女性達の写真が挿入される。

それは彼女等の後に続くであろう
同じ環境や境遇の女性達へのエールに違いない。


中には、日本人の『山崎直子』の名前も。

複数回のミッションを成し遂げた人も何人かおり、
もうこんなに居るのかと驚くと同時に、
男性に比較すれば随分と少ないだろうと思う気持ちも。