RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

宇宙でいちばんあかるい屋根@109シネマズ川崎  2020年9月10日(木)

封切り七日目。

席数89の【シアター8】は一席置きの案内なので
実質45席も、満員の盛況。

いくら「109シネマズの日」とは言え
平日の昼間でこれは凄い。

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原作はおそらく、ひと夏を経て成長する少女を描いた
ジュブナイル

それを大人の鑑賞に堪えうる一本に昇華させた『藤井道人』は
〔新聞記者〕に引き続きなかなかにノっている。


ただ物語を構成する要素はかなり有りがち。

継母に子供ができ、自分の居場所がなくなってしまうと不安になったり
或いは、時代を感じさせる学校の裏掲示板でバッシングされたり、
隣家の年上の幼馴染に仄かな恋心を抱いたりと
揺れ動く主人公。

ただそこに、トリックスターとしての『星ばあ』を絡ませることで
サスペンスに近い要素をスパイス的に付加し、物語りに厚みを出している。


とりわけ、対人的にやや冷めた目を持つ『つばめ』が、
他人に対して何かしてあげたいと変わって行く一連のエピソードは
ほのぼのと温かい。

結末はある意味想定通りも、胸がきゅっとうずくこと請け合いで。


妖精的な存在の(それにしては薹が立っているが・・・・)浮遊感もきちっと表現しながら、
ちょっと意地悪でそのくせ情に厚く、自身の葛藤も抱えている
『星ばあ』を演じた『桃井かおり』が練達の出来。

もはや老齢に差し掛かりながらも、デビュー時から続くアンニュイさも
しっかり感じさせつつ。


しかしわけても素晴らしいのは主人公の『つばめ』役の『清原果耶』。

元々「NHK」で放送された〔螢草 菜々の剣〕をチラ見していたので
できる女優さんとの認識はあったものの、
本作では台詞回しよりも表情での表現が印象的。

些細なことで猫の目のようにくるくると変わる愛くるしさ。

黙っているシーンこそが真骨頂にも思えるほど。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


エンドクレジットを見ていたら、
バックに流れる歌も彼女によるものなのね。

作詞・作曲は『Cocco』となっていたけど、
その巧さに驚いてしまった。