RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

弱虫ペダル@TOHOシネマズ川崎  2020年8月20日(木)

封切り七日目。

席数335の【SCREEN6】は一席置きの案内なら167席ほどだけど
入場者は僅かに六名。

なので冷房が効いて効いて、
終映時にはカラダの芯まで冷え冷えに(笑)。

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自転車レースを素材にした映画では
ピーター・イェーツ』による〔ヤング・ゼネレーション(1979年)〕が白眉と
勝手に思っている。

手に汗握るレースシーンだけでなく、階級間の相克、親子関係、恋愛・友情、
青年の成長をも描いた感動篇。

自転車を核に据えながらも、それ以外のエピソードの配分も絶妙だった。


翻って本作、レースシーンの迫力はさほどでも、だし
登場人物は皆々善い人ばかり。

競技会での駆け引きも許容範囲。
もっとも最後には、感動をきっちり
運んできたりはするのだが。


じゃあ見せ場は何かと言えばこれはもう、
主人公の異能の開花と
微妙な立ち位置との一連の描写に尽きる。

能力については、所謂「ギフト」と称される先天的なものと
後天的に得られたものに大別され、
ここではむしろ後者の要素がより強いか。


根っからのヲタで
交通費を浮かせるためにママチャリで千葉と秋葉原を往復することで脚力が鍛えられた
との設定は笑わせる。

物凄く軽い背景で作られた素養が、
強者を軒並み蹴散らしてしまう爽快感に繋がる面白さ。


そして団体競技としてのロードレースの醍醐味。

特定のメンバーを勝たせる為に
チームが一丸となって献身する集団戦の側面。

そこに主人公が持つ才能が生かされるのだが、
彼はエースではなく、あくまでもサポートに徹する。

箱根駅伝」で言うところの「山の神」的役割を担わされ
それに応えようとの姿勢が清々しい。


人間的な成長よりも
孤独な少年が自転車競技を通じて友情を得、
信頼に応えようと奮闘する過程もテーマの一つながら
レースシーンに多くの時間を割いたため
それらが安直な表現に軽く流れてしまった恨みはある。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


高校生にはとっても見えない外見の登場人物が多いのは
まぁ笑っていなすとしても、
ノローグの多さや技術的な面を(鑑賞者に)判らせるための説明調の科白も気になるところ。

それらをもっときちんと処理出来ていたら
かなりの一本になったろうにとちょっと残念。