RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

世界の涯ての鼓動@TOHOシネマズシャンテ 2019年8月9日(金)

封切り八日目。

席数201の【シャンテ-2】の入りは六割ほど。


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館前のポスターには
「長編監督デビュー50周年の集大成」と書かれているけれど、
はっきり言って誇大広告。とても「集大成」などの惹句を冠せられる出来ではない。

いみじくも、「〔パリ、テキサス〕〔ベルリン・天使の詩〕の・・・・」との表現通り
先の二作を超えるのは難しいものだな。


避暑地のホテルで一組の男女が出会う。

男は『ジェームズ(ジェームズ・マカヴォイ)』、英国の「MI-6」の諜報員。
やがて爆弾テロを阻止する為、危ぶむ周囲の声を振り切り、単身ソマリアに潜入する。

女は『ダニー(アリシア・ヴィキャンデル)』、生物数学者。
生命の起源に迫るため、グリーンランド沖で潜水艇に乗り込み、
深海の探査に赴こうとしている。


瞬く間に恋に落ち、濃密な数日を過ごし、直ぐに離れ離れになる。

何れもが危険な任務に就いた後に、再び二人が再会できるのか?が
サスペンスとして提示されるも、この主旋律がどうにも弱い。

彼の行先は正しく死地でありそれなりの緊迫感はるものの、
彼女が乗る潜水艇はそんなに生還確率が低いものなの?


また、二人を繋ぐ共通項として「水分」が提示される。

確かに人は七割ほどが水分でできており且つ『ダニー』の研究テーマはそのものズバリだけれど
『ジェームズ』に至っては、詐称する身分が水利関係の技師って
牽強付会もほどほどにして貰いたい。

まぁソマリアでは水分摂取には苦しめられたり、
母なる海が救いになったりもするんだが・・・・。


送信メールに反応が無いことに、女の方が
研究も手につかぬほど過度に取り乱す場面も共感できない。
小娘じゃああるまいし、反応が過剰に過ぎる。

任務の中途で拉致された男が目撃する「IS」の非道さも、
危険さを煽るためのエピソードと思われるが唐突感は否めない。
それともその傷ましさをそもそもテーマにしたかったの?


盛り上げるべきところで全く高揚せず、
ちぐはぐなエピソードが次々と挿入され、
まるっきり感情が高ぶることのない、どうにも困った一本。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


男女が出会い恋に落ち、しかし別れてしまう。
描かれるのは未来ではなく、二人の切ない過去。

時節柄の作品〔二十四時間の情事〕の方が
恋愛をベースに戦争の悲惨さを余すところなく描き出し
けだし良作。