RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

さよならくちびる@TOHOシネマズ錦糸町 2019年6月1日(土)

封切り二日目。

席数114の【SCREEN6】の入りは九割ほど。


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解散の為のツアーに出る二人組のロードムービー
最近でも観たテーマだなぁと思いつつ。


若い女性のユニットは
『ハル(門脇麦)』と『レオ(小松菜奈)』の組み合わせなので
『ハルレオ』とはなんとも安直なネーミング。

しかし彼女等の奏でる楽曲は至ってまっとう、なんとなれば
主要な三曲は『秦基博』と『あいみょん』の提供によるもの。

オマケに主演の二人の声が抜群に良く、歌唱も極めて上々
(いやこれは、贔屓の引き倒しではなく)、下手なアイドルより余程巧くて、
このまま映画がヒットすれば
年末の「紅白」への出場も夢ではないと
真剣に思ったり。


何故に解散へと向かってしまうのか、
その理由が詳らかにされることはここではない。

しかし旅の途中で見せられる二人の諍い、或いは
挟み込まれる過去のエピソードから
それとなく観客が類推するしかないのだけれど。

自身の存在意義やローディの『シマ(成田凌)』との関係性
或いは性的な嗜好の悩みがないまぜになり提示はされつつ
これと言った決め手は見当たらない。

寧ろ、二人が最初に出会うシーンが頗る印象的。
特に長廻しの場面での『小松菜奈』の演技が素晴らしく上出来で、
あぁ彼女も上手くなったと唸りながら、それでも
分かれる道を選んだことへのわだかまりは最後まで消えることが無い。


東京を発して関西を回り、日本海側を北上、
函館で終了するロードは、実際のライブハウスを使い、観客にも追体験を。

特にラストライブのシーンでは、オハナシと判っているのに
印象的な挿話が幾つもちりばめられ、思わず涙がこみ上げる。

冒頭にちらとだけ出された場面も、実は含蓄のある伏線として
きっちり回収され、詩情溢れるショットともども、胸が熱くなってしまう。


そして振り出しの場所として戻って来た東京では
今回のツアーが二人にとっての浄化の旅であったことが明示された後、
現代っ娘らしいからっとした新しい旅路が描かれる。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


元々好みであった『門脇麦』と『小松菜奈』を
更に好きにさせられてしまった一本。

今っぽいはすっぱさが、どうにも魅力にしか見えないんだもの。