RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

チワワちゃん@109シネマズ川崎 2019年1月20日(日)

封切り三日目。

席数118の【シアター5】の入りは八割ほど。


イメージ 1



待望の『岡崎京子』原作の映画化。

今度は誰が脱ぐんだろうわくわくと観ていたら
ちぇっつまんね~誰も脱ぎやがらない。

いや正確には脱いでいるんだが
映像の処理でそれとは見えなくなっている。

はっきり言って★一つ分マイナスくらいの評価レスだ。

観客の期待を裏切る代償はデカいんだぜ。


遊び友達の『チワワちゃん(吉田志織)』が
東京湾でバラバラ死体で発見される。

動揺する仲間等だが、
誰も彼女の氏素性を知らなかったことを改めて思い知る。

そんな中、『ミキ(門脇麦)』は雑誌からの取材依頼が有ったこともあり
『チワワちゃん』について仲間内に訊ねて回る。

しかし、そこで知り得た情報を再構築しても
本人の人となりを明らかにすることはできず、ましてや
事件の手掛かりすら掴めなかった。


原作コミックは短編と聞いている。
それを百分強の尺にムリ引き延ばしをしている感想。

そのための歪が各所に現れる。

代表的なのが乱痴気騒ぎのエピソード。
たった三日間の挿話に一体どれだけの時間を割いているのか。冗長に過ぎる。
これがビデオ鑑賞だったら(常の宗旨を曲げて)早送りしているところだ。

それ以外にも意味の解らないPVっぽいシーンはあるわ
やたら切り返しの早いカット繋ぎはするわで
前半部の語り口は特に良くない。

ここいら辺をバッサリと整理して、90分程度に纏めれば
幾分印象の異なる作品に仕上がっただろうに。


ところが後半部、写真家の『サカタ(浅野忠信)』が出て来るあたりから
物語りはぐっと引き締まる。

奔放そうにも見える『チワワちゃん』の造形は
変わらず捉えどころのないままだけど、
彼女はある種のメタファーであることがうっすらと理解できて来る。


そして全編を通して描かれるのは、
青春の終わりの始まりの物語り。

『チワワちゃん』どのような形であれ消えることが重要であり、
骨格自体は〔舞踏会の手帖〕宜しく、一つの時代の終焉と
大人への階段を昇るための象徴であるのだ。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


エンドロールやテロップが、英語/ローマ字表記なのも宜しく無い。

本編の前半部同様スタイリッシュさを意識してなのかは判らんが、
観る側への注意があまり向かない造りになっている右代表例。