RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

羊の木@109シネマズ川崎 2018年2月10日(土)

封切り八日目。

席数121の【シアター5】の入りは九割ほど。


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富山県を思わせる北陸の小都市に
六人の移住者が相次いでやって来る。

市側の受け入れ担当者『月末(錦戸亮)』には
「国家的プロジェクトの一端」との
あまりにざっくりした概略しか知らされず、
しかし、一人また一人と相対するうちに
言いようの無い不安感が湧き上がって来る。


彼等・彼女等は見掛け上の不審点はないものの、
各々の言動は共通してなんとなくおかしい。

背景に流れる音楽も含め、剣呑な雰囲気を盛り上げる描写。

そして、ほんのちょっとの違和感を感じさせるエピソードの造りこみは
極めて秀逸。


やがて六人全員が、嘗て殺人を犯しており、
刑務所の予算削減、地方の人手不足・過疎対策として
刑期を短縮され出所したものだとは判るのだが、
起こした事件の詳細を知らされていない『月末』の心中は
穏やかになることがない。

主演の『錦戸亮』が優しい、それでいてちょっと頼りなげな
市役所の職員を好演する。


同じ殺人者と言っても、不可抗力で犯してしまった罪と
自分の意志に反してしてしまったコト、或いは
シリアルキラーによるそれを同列に扱うことは当然できない。

にもかかわらず、そういった情報が伝えられないまま、
管理を託された『月末』の不安はいや増すばかり。

自身の周囲、或いは街の住人に何らかの害が及ぶのではないか?
何か禍々しいコトが起きるのではないか?
不穏な空気を孕みながら物語は静かに進行し
そして幾つかの事件が起こる。


六人の背景が明らかになるまでの過程と共に
地域の人々との関わりも含めたヒューマンドラマの側面をも持ちながら
実は中には、更生しきれない人間もいるのではないか、とのサスペンスも
緊張感を保ちながら最後まで持たせ続ける脚本の構成も際立っている。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


元犯罪者の一人『太田』を演じた『優香』が
妙にエロっぽいコトを含め、良質の演技。

今まで大根だと思っていたけれど、
いやいや本作ではかなり上出来。