RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

羊とオオカミの恋と殺人@TOHOシネマズ日比谷 2019年12月1日(日)

封切り三日目。

席数98の【SCREEN3】は満員。

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ひょんなことからアパートの壁に小さな穴が開いてしまう。

罪悪感を感じながらも興味津々で覗いた先に居たのは
自分と同年代の美少女!

それからは、彼女の私生活を覗き見るのが毎日の糧になる。
男子にとっては夢の様なシチュエーション。


ところがある日、何時もの如く隣を覗いていた時に、
連れ込んだ男の喉元を彼女がカッターナイフで切り付けているのを目撃。

最初は見間違いかと思ったものの、同様の行為が繰り返されるに及び
彼女がシリアルキラーなのを確信する。

天国から一気に地獄に落とされたような理不尽な瞬間。

それでも美しい隣人への恋心は募るばかり。


タイトルにある「羊」は大学受験に失敗、
予備校もやめてしまい無為な日々を過ごす『黒須(杉野遥亮)』。

一方の「オオカミ」は件の才色兼備の殺人鬼『宮市(福原遥)』。


処構わず行われる殺人シーン以外は
全体としてはコミカルなほのぼのとした描写が続く。

唯一の問題点は彼女が常習的な殺人者なこと。
その性癖を止めさせられるのかもサスペンスの一つ。

やや変形ではるものの、
馴れ初め自体はボーイ・ミーツ・ガールだし、
二人の恋路を邪魔するライバルの登場や障害の発生、等
ストーリーの骨格はラブコメの王道を行くもの。

そもそもの設定の多くの矛盾や、殺人に対する倫理感の無さに
とやかく難癖を付け眉を顰めるのは
ここでは野暮。

可笑しな二人の関係性を生暖かく見守るのが宜しいようで。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


けして上手くはないものの、
主役の二人が良い味を出している。

特に殺人鬼を演じた『福原遥』の人を殺めた後の表情の変化は見所。

最初に目撃される殺人と終盤のそれ、
そしてラストシーンでのカタルシスの表現の違いがなかなかに素晴らしい。

『黒須』が彼女を愛することを止められない理由の一つを
端的に表現している。