封切り三日目。
席数98の【SCREEN3】は満員。
ひょんなことからアパートの壁に小さな穴が開いてしまう。
罪悪感を感じながらも興味津々で覗いた先に居たのは
自分と同年代の美少女!
それからは、彼女の私生活を覗き見るのが毎日の糧になる。
男子にとっては夢の様なシチュエーション。
ところがある日、何時もの如く隣を覗いていた時に、
連れ込んだ男の喉元を彼女がカッターナイフで切り付けているのを目撃。
最初は見間違いかと思ったものの、同様の行為が繰り返されるに及び
彼女がシリアルキラーなのを確信する。
天国から一気に地獄に落とされたような理不尽な瞬間。
それでも美しい隣人への恋心は募るばかり。
タイトルにある「羊」は大学受験に失敗、
予備校もやめてしまい無為な日々を過ごす『黒須(杉野遥亮)』。
一方の「オオカミ」は件の才色兼備の殺人鬼『宮市(福原遥)』。
処構わず行われる殺人シーン以外は
全体としてはコミカルなほのぼのとした描写が続く。
唯一の問題点は彼女が常習的な殺人者なこと。
その性癖を止めさせられるのかもサスペンスの一つ。
やや変形ではるものの、
馴れ初め自体はボーイ・ミーツ・ガールだし、
二人の恋路を邪魔するライバルの登場や障害の発生、等
ストーリーの骨格はラブコメの王道を行くもの。
そもそもの設定の多くの矛盾や、殺人に対する倫理感の無さに
とやかく難癖を付け眉を顰めるのは
ここでは野暮。
可笑しな二人の関係性を生暖かく見守るのが宜しいようで。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。
けして上手くはないものの、
主役の二人が良い味を出している。
特に殺人鬼を演じた『福原遥』の人を殺めた後の表情の変化は見所。
最初に目撃される殺人と終盤のそれ、
そしてラストシーンでのカタルシスの表現の違いがなかなかに素晴らしい。
『黒須』が彼女を愛することを止められない理由の一つを
端的に表現している。