RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

3月のライオン 後編@チネチッタ川崎 2017年4月23日(日)

封切り二日目

席数154の【CINE9】の入りは九割ほど。


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予告編を見る限りの印象はそうであったし、
また新聞掲載の評の多くが 詰め込み過ぎ とのスタンスで
導入部では成る程なぁと感じもした。

『桐山零(神木隆之介)』を取り巻く二つの家族、
『川本家』『幸田家』にまつわるトラブルが
共に二つずつ盛り込まれるためで、
将棋の世界にもっと収斂した流れにすれば
一本道の爽快さは確かに出たかもしれない。


ではあるものの、本編の眼目が
主人公の人間としての成長を描くことにあり、
独りで生きて来たようでも、実は
周囲の暖かな思いによって生かされていたのだとの認識を新にさせるためには
全てが必須であったと、観終わってからは思える。

そして、
作品のタイトルはエンドロールの直前に出され、
予想通り諺の後半部が添えられる
気持ちの良いエンディングとなっているのもその証左だろう。


が、二時間ちょっとの尺では
掘り下げた描写になっていないのも間違いなく、
直近の前・後篇モノからすれば異例ではあるけれど、
前篇=序なのだから、破・急をひとまとめにせずに、
三部作に造り込むべきだった、
との思いが素直にある。

やはり、
『川本家』にまつわるいじめや父親の挿話、或いは
『幸田家』の『香子(有村架純)』と『歩』の姉弟にしても
前作から引き続いての登場人物以外はどうしても
それぞれの描写が薄くなってしまった恨みはある。

将棋の世界にもそれは言えて、一例を上げれば
凄味と天然さを相持つ『宗谷冬司(加瀬亮)』の人となりを示すエピソードを
もっと入れ込んで欲しかった。


評点は近似であっても
実際には前篇の方が遥かに良くできている。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


あくまでも外見上の問題ではあるけれど、
『甘麻井戸誠二郎』を演じた『伊勢谷友介』はいかにも若過ぎ。
『川本あかり』役の『倉科カナ』とは実年齢で一回りほどしか違わないのだから、
後者が幾ら若目にメイクしても
やっぱり違和感ありまくり。

『誠二郎』の自己中な軽さを体現できる適役は、
他にも居るんじゃ、と思うんだが・・・・。