RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

嘘八百@TOHOシネマズ川崎 2018年1月14日(日)

封切り十日目。

席数158の【SCREEN3】は九割方の入り。


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正統的な「コンゲーム」の一本と思って観始めたら、
中途からどうやら様相が変わってくる。

二転三転のはらはらどきどきが
最後まで持続しない。

制作者サイドもそれを慮ったのだろうか、
取って付けたような騙し騙されを
サイドストーリー的に付加している。
が、これは必要だったかどうか?


テレビにも出ている有名な鑑定家『棚橋(近藤正臣)』、そして
関西の老舗骨董店の店主『樋渡(芦屋小雁)』。

この二人が結託、
店主が贋作を陶芸家に作らせ、
鑑定家がそれにお墨付きを与え高価に売りつける、との
詐欺まがいの商売を続けている。


嘗て駆け出しの時に彼等にカモにされた
骨董屋『小池(中井貴一)』と陶芸家『野田(佐々木蔵之介)』の二人が
投合して意趣返しを試みる。

その二人が出会うまでの経緯は
まさに「コンゲーム」。

互いが誠実さを前面に出しつつ
相手を出し抜こうとする。

観客もすっきりと騙されてしまう
上々の滑り出し。


しかし、それ以降は
仕掛け造りに腐心する様子の描写に終始、
山場の流れもおおよそ見当が付くもので
龍頭蛇尾の感は否めず。

まぁこの種のハナシは大きければ大きいほど
成立した時の爽快感、失敗した時は喪失感がより大きくなるので
基本の設定自体に異を唱えるつもりはないけれど。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


骨董屋の『中井貴一』からは胡散臭さが漂って来ないのに対し
陶芸家を演じた『佐々木蔵之介』の、特に作陶の場面での渾身の演技が素晴らしい。

特に作品を見つめる時の眼つきの鋭さは、
実際もおそらくかくや、との迫力に満ち満ちている。