RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

クワイエット・プレイス 破られた沈黙@TOHOシネマズ上野  2021年6月20日(日)

封切り三日目。

席数112の【SCREEN5】は一席空けての案内なので実質56席。
それが八割ほどの入りになっている。

f:id:jyn1:20210622081249j:plain

 

正式なタイトルは〔A Quiet Place: Part II〕。
全体的な流れを見た時に、
邦題よりも、こちらほ方がよほどしっくり来るのは毎度のこと。

加えて〔Part Ⅲ〕すら製作しちゃうんじゃない?!との勢いだから。

ストーリーの構成的には「起承転結」の「承」に当たる部分と認識。
ここでダレてしまう凡百の作品は多い中、
きりっと締まった緊張感のある展開をラストシーンまで持続させる見事な力業。


前作で、宇宙からの飛来者の弱点を見い出し、
眼前の危機を見事に打ち砕いた家族の後日譚。

嘗て住んでいた家の上層は火に包まれ、下層は水浸しとなり、
とても暮らせる状態ではなく、また
自身等が得た知見を広めることで、
再び地球を人類の手に取り戻すことができると考えた一家は、
今いる場所を捨て、共に闘う隣人を求め、外界への一歩を踏み出す。


しかし、音を立てれば、捕食者が素早く襲来する状況は変わらず。
ましてや生まれたての乳飲み子を抱え、
耳が不自由な二人の子供との逃避行は並大抵のことではない。

最初は、何のために持ち出したの?と
用途も判らなかった酸素ボンベも、
複数の使途が提示される等、
小物の使い方の巧さに代表される脚本の冴えは今回も健在。

まぁ、主要な登場人物は生き残るだろうとは信じつつ、
〔Part Ⅰ〕の前半部では
それをあっさりひっくり返す設定を入れ込んだ制作サイドのこと、
今回も油断はならぬと注視する。


旅の中途で出会う人々は、善意であるのかそれとも
腹に一物あるのかは判然とせず、
それでも明日への希望の為に敢えて虎の尾を踏む母子には
当然のように危機が襲い掛かり、
ハラハラさせる描写が間断なく繰り返される。

しかし、前作での主役であった母親を脇に置き、
本作では二人の子供が目覚ましい活躍を
それも重層的に見せるものだから、
こちらの動悸も二倍に急上昇。

九十分の短尺ながら、その密度の濃さは
生半可には非ず。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


そしてここで、「Ⅱ」に仮託した複数の意味も考える。

二人の子供が、二つの場所で見せる勇気と才気。

邦題にはない暗喩を、勝手に感じ取ってしまうわけだが。