RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

園子温 展「ひそひそ星」@ワタリウム美術館 2016年6月12日(日)

一作毎に毀誉褒貶の激しい、
どちらかと言えば「毀」と「貶」が多い『園子温』。
直近だと〔リアル鬼ごっこ〕や〔ラブ&ピース〕か。

特に後者は『麻生久美子』さまをフィーチャーしながら
とんでもない体たらく。
え~い、もう、監督なんぞヤメテしまえ、とも思ったが
新宿スワン〕と〔映画 みんな! エスパーだよ!〕が良かったので
取り敢えず不問にしておく。


イメージ 1



そんな彼の個展は、とっても集客力があるとは思えないけど、
トークショーだけは凄い面子が揃っているので
来場日には気を付けないと、とんでもない混雑に遭遇する可能性アリだ。

会田誠』でしょ、『綾野剛』でしょ、『斎藤工』でしょ。
当日だって夜からは『二階堂ふみ』が予定されており、
自分の直前の客も参加チケットを求めてたしな。


一般の入場料は1,000円。
だけど、招待券を頂いた。

館内はぱらぱらとは客が入っており、
そんなに閑散として寂しい空気にはなっていない。


二階はなかなか面白い造り。

人間は死の間際に、その一生を走馬灯のように
一瞬の内に回顧すると言われるけれど、まさに
それを体現したもの。

障子が一面に張り巡らされ、その向うでは人々が日々の暮らしに興じる。

誕生から始まり子供時代、結婚しての家族の団欒と繋がって行く。

単純な影絵と映像の投影、或いは機械仕掛けで動くものと
表現も様々。

中には監督の嗜好を反映してか夫婦の房事の場面もあり
オマケに凄い体位だったりもする。

そして、障子の後ろからはヒソヒソ話が絶え間なく聞こえる。


三階は渋谷の『忠犬ハチ公』が台座から逃げ出し、
放浪しながら今では福島に住む夫婦の元で
厄介になっているとの筋立て。

これも、『ハチ公』が居なくなった後の台座は
墓石の様にも見え、次第に朽ちて行く。

主の喪失が重複して起こり、
否が応でも死の影を感じざるを得ない。


四階はタイトルにもある最新作の〔ひそひそ星〕に関するもの。

壁一面には絵コンテが並び、中央のモニターには
映画の中から幾つかのシーンをつまんだものが
エンドレスで流される。

正直、これだけ観ても、何のことやら
さっぱり意味不明。

ただ壁面をよくよく見ると
二階に有った影絵が、此処でも投影されていることに気付く。

と、すればやはり、これこそが
作品のモチーフなのだろう。


ちなみに四階には撮影に使われたであろう『ピース』クンも展示されているので
ココロして探すように。