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好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル@チネチッタ川崎 2023年7月1日(土)

封切り二日目。

席数407の【CINE11】の入りは八割ほど。

 

 

第一作の監督の『スティーヴン・スピルバーグ』や
脚本の『ローレンス・カスダン』が、
どれほどを構想していたのかは判らない。

しかし同作で「I'm your goddamn partner!」と叫んだ『マリオン(カレン・アレン)』が
クリスタル・スカルの王国 (2008年)〕では本当にパートナーとして現れた時にはぶっ飛んだ。

ダース・ベイダー』の「I am your father」を聞いた時に
近い驚愕度合い。

そして本作でも、彼女は重要な役回りを持たされる。
それも四十有余年を経て、
その時のエピソードを再度使い回すとの使命と共に。


これに代表されるように、今回は殊の外、過去作との関係性が
強く打ち出されている印象。

若く気の強い女性のバディに
孤児の助手とのフォーマットや
事件が旧友の残した遺品が発端となることも含め。

しかしそれらは、セルフオマージュにとどまることなく、
時代らしい様相をしっかりと付加されている。


過去作では、大学の講義中に
瞼に「LOVE YOU」と記した若い女性にアピールされた『インディ・ジョーンズハリソン・フォード)』も
今ではすっかり老齢。

第二次大戦前~中は、ナチスと激しいやり取り繰り広げた壮年期も
1969年の時代では肉体も衰え、講義にも張りが無く
授業中にも居眠りをする生徒が続出する始末。

そんな彼が老体に鞭打ち、再び活劇の世界に躍り出す。


今度の争奪物は、嘗ては「オーパーツ」と言われていた
アンティキティラ島の機械」をモチーフとしたもの。

それを紀元前の科学者『アルキメデス』が残した
時空の裂け目を予測できる機械と換骨奪胎し、
例によって「ナチス」も絡ませながらの冒険譚が繰り広げられる。


その「ナチス」の設定も様変わり。

以前はオカルトマニアである『ヒトラー』への貢物がターゲットであったのが、
戦後の時代の『ユルゲン・フォラー(マッツ・ミケルセン)』は
自身が総統に成り代わることで再興できる可能性を妄信、
組織自体がある種の劇薬であることが提示され。


勧善懲悪の結末と共に、
歴史の目撃者となる設定(例えば『インディー』の手帳には、
ヒトラー』のサインすら記されているハズ)も盛り込まれ。

ただ、何れも新機軸が楽しい複数のチェイスのシーンは
やや時間が過多に思えるし、
得物である鞭の使用場面が少ないのも不満が残る。

が、『ジョン・ウィリアムズ』による〔レイダース・マーチ〕が聞こえて来れば
主人公の起死回生の場面と心が弾むのには変わりない。

小道具の提示とその回収、
歴史的事実を巧みに仕掛けに盛り込む脚本も素晴らしい。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


懐かしいと言えば、エンドクレジットで
フィリップ・カウフマン』の名前を久々に見る。

第一作の原案/キャラクター創造としてのものだが
彼の齢も九十歳近いとの記憶。

もう二十年も作品を世に問うていないわけだが、
今はどうしているのだろう。