RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

最後の決闘裁判@109シネマズ川崎  2021年10月16日(土)

封切り二日目。

席数118の【シアター5】の入りは三割ほど。

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〔エイリアン(1979年)〕で名を上げはしたものの、
近年ではそれに纏わる駄作を乱発し
名を落としている『リドリー・スコット』。

もっともデビュー作は〔デュエリスト/決闘者(1977年)〕で
日本公開はこちらの方が後なのだが、
自分は「@シネマスクエアとうきゅう」で観て
先の作品との、いや後々の彼の作品に共通する萌芽は
やはりここに有ったと今更ながらに感じる次第。

それから二十年後の〔グラディエーター(2000年)〕を挟み、
更に二十年、漸く「決闘」の世界に戻って来たと
感慨を新たにする。


本作は三章だてとなっており、
その各々で話者が異なる。

映画では『黒澤明』の〔羅生門〕以降一般化された
違う視点から語られる手法。

もっともこの作品、『芥川龍之介』の原作は何れも短編で
羅生門〕は借景だけ、
本筋は〔藪の中〕を援用となってはいるのだが。


この映画の企画は、主演/脚本の『マット・デイモン』が持ちかけたと聞く。

やはり領主役で出演している『ベン・アフレック』も
男性パートの脚本を書き、
女性視点の第三章は『ニコール・ホロフセナー』が書いた、と。

なので決闘の帰趨がどうなるか、との興味に加え、
各章で描かれる個々人の表現が(当然のことながら)
差異があり面白い。


とは言え、二人の男は何れも
特に女性に対しては傍若無人との共通項はあり
現代の我々からすれば違和感はありまくり。

フランスで法的に認められた最後の決闘との
史実を基にしており、
舞台は十四世紀後半の
非科学と信仰が支配していた時代。

勝ち残った方が、
神託を受けた正しい者との考えは今となっては笑止だけれど。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


人間的なドラマの部分は脚本に負うところが多いものの、
最後の決闘シーンは『リドリー・スコット』の面目躍如、
自家薬籠中の迫力に満ちた表現は流石と唸る。

御年83歳だけれど、まだまだ老いておらずと
今後の作品への期待も高まる。

まぁ、もっとも、扱うテーマ次第なのは
間違いのないところだけれど。