RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

累-かさね-@109シネマズ川崎 2018年9月10日(月)

封切り四日目。

席数127の【シアター2】の入りは六割ほど。


イメージ 1



怪談〔真景累ヶ淵〕が代表例、
江戸の昔から「累」の文字を怪異の物語に使って来た歴史は連綿とあり。

恐らく本作もその系譜を継いでいると勝手に解釈。
ちなみに原作は未読。


事故によって顔に大きな傷跡を負ってしまった『淵累(芳根京子)』が、
大女優の母親が遺してくれた不思議なチカラを持つ口紅を使うことで
次第に演劇の世界で頭角を現す。

物語の根底は勿論ファンタジーだし、
ディテールには辻褄の合わない部分も散見するけれど、
それらを凌駕するほど二人の女優の表現力のぶつかり合いが見どころなのは
衆目の一致するところ。

そのもう一人は、顔は良いモノの演技力は中途半端な
女優の卵『丹沢ニナ(土屋太鳳)』。


母親の口紅を付けてキスをすれば、その相手と顔(だけ)が
入れ替わるとのギミックが先ずは素晴らしい。

顔が入れ替わっても中身は変わらないから
演じる時には相手に成り切る必要がある。

その入れ子構造をどう上手く表現するか。
要は同じ顔で性格の異なる二役を務める訳だから
成る程技量が必要で舞台上での踊りの場面も勘案すれば
そうそう選択肢は無かったのだろう。


それに応えて『土屋太鳳』の出来がなかなか良い。

本人ママの下手な演技と顔が変わってからの
上質な芝居を分かり易く表現することの
なんとそつのないことか。

やはりこの人、コミック原作でも
ブコメよりはこの方面に邁進した方が
良い結果を生むようだ。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


勿論、『芳根京子』もね。

もっとも彼女は〔心が叫びたがってるんだ。〕が既にあるからなぁ。