RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ファーストラヴ@TOHOシネマズ川崎  2021年2月11日(木)

本日初日。

席数158の【SCREEN3】は四割ほどの入り。

f:id:jyn1:20210213073508j:plain



女子大生が父親を刺殺する事件が都内で発生。

容姿に優れた娘はテレビ局のアナウンサー志望であり、
父親は美大の教授且つ売れっ子の画家であったことから
事件はセンセーショナルな扱いに。

加えて、捜査段階で、殺害を認めているにもかかわらず
「動機はそちらで見つけてください」などと投げやりな態度を取ったことも
それに拍車を掛ける。


一方、臨床心理士の『真壁由紀(北川景子)』の元には
被疑者の『聖山環菜(芳根京子)』に取材し書籍に纏めて欲しいとの依頼が。

国選弁護人である『庵野迦葉(中村倫也)』が
たまたま義弟であったことから情報を交換しながら接見を重ねるも
彼女の供述はころころと変わり、
奥に潜む闇の深さが顕に。

『環菜』の心を解きほぐし、事件の真相に
二人は辿り着くことができるのか、が主旋律。


ただ例によって予告編は
やや観客をミスリードするよう、編集されていたかも。

見た限りでは、サイコサスペンスに位置付けられようかと鑑賞に臨んだのだが、
実際の展開は正当なミステリー。

それも、伏線は周到に張り巡らさせ、
謎が解き明かされて行く流れはスリリング且つ惚れ惚れとする出来で
観終わった後に不満は微塵も残らず。


主人公の『由紀』にも苦い体験があり、
時として悪夢を見、記憶が甦る度に過換気を起こしてしまうのだが、
それが今回の事件に立ち向かうモチベーションになるのは何とも皮肉。

ただ、次第に炙り出されて来る複数の家族が内包する病理の全てが
ペドフィリアに収斂してしまうのは正直怯んでしまう。

また『環菜』に対して、
自身の過去に重ね合わせることで過度に入れ込み過ぎる点や、
自身で導いた結論を強引に開陳する態度は、
心理士として正しいのかと首を傾げる描写もありはしたのだが。


現代社会が孕む病理を浮き上がらせつつ、
日本に特有の司法制度も鋭く突く原作者の姿勢には共感。

特に殺意の有無と言う、本人にしか、
いや、時とすれば本人にも判らぬ心理が
心象の良し悪しで結論付けられるのは
何とも理解に苦しむ点。

「疑わしきは被告人の利益に」が
大原則ではなかったかと改めて思ってしまうのだ。

真実を解き明かしたい側と量刑を決めたい側の相克は
何処まで行っても、埋まることのない平行線。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


それにしても本作での『北川景子』の美しさは出色。

あんな顔を間近で見せられ協力を要請されたら、
たいていの男どもはこくこくと
一も二もなく頷いてしまうに違いない。

演技の面でも、過去作から一段抜けた仕上がりだし。