RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

溺れるナイフ@109シネマズ川崎 2016年11月19日(土)

封切り三週目に突入。

席数130の【シアター2】は満員の盛況。

原作が少女漫画だからか
或いは主演俳優陣によるものか
場内は小・中・高の女子達に席巻されている。

時折、彼女等と同年代の男子連れも見かけるが少数。
更に少数派の歳の行ったおぢさん達は、
身を小さくして大人しく
鑑賞するしかない。

それにしても本編が始まるとぴたっと話を止め、
エンドロールが流れ出すと一斉に喋り出すのは、
変な統制が取れており、ある意味凄い。


イメージ 1



どうにもこじれた作品を撮ってくれたもんだ
『山戸結希』監督。

頭でっかちで観念が先に立ち
かなりまとまりの悪い一本になっている。


当初は独特のカットや繋ぎも
かなり面白いものとして見ていたが、
それが次第にオーソドックスな表現に落ち着いて行き、
最後の方は凡庸。

テクニックに加え、一番引っ掛かったのが
何を描きたかったのかが判然としないコト。

少女の成長?
それとも純愛?

(映画を観る時に)テーマについてはそれほど重視してはいないけど
それにしても立ち位置がはっきりとしない。


同じ意味で
主だった主人公二人の態度が
ぶれぶれなのが一番宜しくない。

『望月夏芽(小松菜奈)』に到っては
開始数分であっさり変節し、愛を頂戴な女になってしまうし
『長谷川航一朗(菅田将暉)』も
最初の頃と最後を比べると、これはホントに同じ人格なんですかと
疑うほどの変容ぶり。

唯一確固たる信念を持っているのは
友人の『大友(重岡大毅)』と『カナ(上白石萌音)』だなんて
洒落にもなっていない。


元々十七巻もある長編を二時間弱の尺に押し込めているわけだから
印象的なエピソードを抽出し、省略を上手く使いながら描くのは仕方無いにしろ
かなり違和感や唐突感が有りまくりの表現のオンパレードになってしまっている。

それは冒頭のボーイ・ミーツ・ガールの場面から感じられることで、
やはりこれも映画化するのに妥当な素材だったかどうか・・・・。


評価は、☆五点満点で☆☆☆。


劇中劇の様に挟み込まれたシークエンスを見れば判るコトだが
小松菜奈』はこれだけのシリアスさに耐えられる演技の域には
まだまだ達してないと思う。

それが証左に、アドリブに近い掛け合いの場面では
なんて表情が生き生きしていることか。