RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

閉鎖病棟-それぞれの朝-@TOHOシネマズ錦糸町 2019年11月1日(金)

本日初日。

席数112の【SCREEN7】の入りは八割ほど。

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今は「精神病院」とは言わないのね。

主に精神に障害のある人を治療・保護する病院との定義で
本作では「閉鎖病棟」と表現している。

閉鎖と言っても申請をすれば外出はできるし、
敷地内は高い塀で隔離されているわけでもなくで
かなり開放的にもとれる施設。


そこでの、先ずは患者達の日常が語られる。

やや奇矯な行動や強い拘りは見られはするものの、
世間的な集団生活とはあまり違いは無く、
淡々と時間は過ぎて行く。

ただ、入所者間にはそれなりの葛藤もあり、
それが時として諍いを起こしてしまうことも。


そんな中で、
死刑執行後に蘇生した『梶木(笑福亭鶴瓶)』、
頭の中に他人の声が入って来る『チュウさん(綾野剛)』、
家庭の問題で保護的に入院している『由紀(小松菜奈)』の
三人を軸に物語は展開する。

夫々の過去が挿入され、並行してイマが描かれる。

既に起きてしまい取り返しが付かないコト或いは
現在も進行中で病の遠因になっているもの。

それらが互いに共有されることはないものの、
幾つかのエピソードが積み重ねられるうちに
次第に信頼感が膨らみ
家族を模した関係性が築かれて行く。


が、予期せぬ事件が起きたことで、
三人の緩やかな紐帯は解体される。

しかしそこからが本作の真骨頂。

人は何の為に生きるのか、との
テーゼを前面にぐいぐいと押しまくる。

タイトルこそ「それぞれ」となってはいるけれど、
この三人はけしてバラバラではない。


更にここでは、『小松菜奈』の演技が際立つ。
長回しをものともせず、また
際どいシーンもど~んと演じる新境地。

綾野剛』や『笑福亭鶴瓶』については
言わずもがなで。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


一見幸せそうに見えて、実は心に中に孤独を囲う
やはり入所者の『サナエ(木野花)』の挿話が
頗る印象的に使われる。

唐突には思えるものの、最後のシークエンスに繋がる
重要な布石として。