RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

SCOOP!@TOHOシネマズ渋谷 2016年10月1日(土)

本日初日。

席数297の【SCREEN3】はぱらぱらと空席が散見されるものの
ほぼほぼ満員。

もっと女性が多いかと思ったけど
そんなこともなく年代も幅広い。

もっとも「PG12」だけあってお子様の姿は見掛けない。


イメージ 1



オープニングからして吃驚してしまう。

一つは主演の『福山雅治』の今まで演じて来たキャラとのあまりの落差。
例えば〔ガリレオ〕シリーズの『湯川学』とか
るろうに剣心〕の『比古清十郎』とか
何れも端正で隙の無い役柄であったハズ。

ところが本作ではどうだろう。
作中でも「中年パパラッチ」とやや侮蔑的に呼ばれ、
ヨレヨレの服に無精髭、おまけにとんでもない色ぼけで
お金が入ると直ぐ風俗に注ぎ込んでしまう。

もし彼が結婚前にこのキャラを演じていたら
「きゃ~やめて~~~」と言う女性ファンの悲鳴が
きっと聞こえて来ただろう。

そしていきなり、張り込み中の車の中にデリヘル嬢を呼び
一戦におよんでいるいるシーンから始まるわけだが、
そこからが見所の極端な長廻し。

外連味たっぷりのカメラワークで
以降の展開に期待を持たせる上々の導入部。


物語は、各種の手練手管により有名人のスキャンダルを追う
カメラマン『都城静(福山雅治)』の日常を描く。

ズブのど素人『行川野火(二階堂ふみ)』を無理矢理アシスタントに付けられ
最初こそくさってはいたものの、次第に名コンビになって行く過程は
笑いなしには観られない。

そして我々観客は、スキャンダルを暴く彼等の一連の行動を
図らずもパパラッチしているという、実は二重構造にもなっている。


その過程で、実は『静』が、
嘗てスクープを連発したスターカメラマンであったのに
今は落ちぶれてしまった理由、或いは
所属する写真週刊誌「SCOOP!」の副編集長『横川定子(吉田羊)』との過去、
情報屋の『チャラ源(リリー・フランキー)』との関係については触れられはするものの、
ほんのちょっと暗示されるだけで、けして深く語られることはない。

他人のプライバシーを暴露しまくるこことは
極端な対立項になっている。


唯一詳細に描かれる『静』の過去は
カメラマンを志した経緯であり、
それは『キャパ』に憧れて、との
アリがちな理由だけれど、それが最後のエピソードに余韻を持たすことに
上手く機能している。

『静』がフィルムで撮った写真を
「わざとピンボケにしているので使えない」と『定子』が断じるシーンがある。

しかし『キャパ』の写真書に〔ちょっとピンぼけ〕のタイトルがあり
その基になったのは「ノルマンディー上陸作戦」を撮ったブレブレの
数葉ではなかったか(勿論、意図的にそうなってしまったのではないけど)。

スキャンダル写真ではシュチュエーションは当然のこととして
その鮮明さこそが決定的に重要となる
報道写真とはまた異なる価値観で軽重が判断されるコトの明快な論理。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


福山雅治』が新境地を開き
監督の『大根仁』の手腕も冴えまくった
記憶に残る一本。

勿論、『原田眞人』による〔盗写1/250秒〕と言う原本が有ってのコトだけど。