RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

ラストレター@チネチッタ川崎 2020年1月23日(木)

封切り七日目。

席数244の【CINE6】の入りは七割ほど。
客層は中高年の女性が圧倒的で
岩井俊二』か『福山雅治』の支持層なのかな。

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姉の『遠野未咲』とその娘の『鮎美』を『広瀬すず』が演じ、
妹の『岸辺野裕里(松たか子)』の高校生時代と娘の『颯香』を『森七菜』が演じる。

やや複雑な創り込み。

実際、冒頭のシーンで(なまじ予告編等を繰り返し
見ていただけに)ちょっと混乱をきたしてしまった。

もっともこの設定が後半部でじわりと効いて来る。
あまりにも手練れた監督の設定に感心し、同時に
その場面ではいつの間にか涙が溢れスクリーンが滲んでしまう。


姉が亡くなったことを告げる為に
高校の同窓会に出席した『裕里』だったが、
姉本人と間違われ、あまつさえ二年先輩の憧れの人『乙坂鏡史郎(神木隆之/福山雅治)』と
手紙のやり取りをする羽目に。

嘗て高校時代に、『未咲』に宛てた『乙坂』からの手紙を仲介した経験もあり、
『裕里』は心を浮き立たせ嬉々としながらペンを走らせる。

実はこの手紙の行き来が、かなり複雑な構造になっており、
二人の娘達も自然と絡んで来たことから
物語りはややファンタジー色を帯びて来る。

この間に、過去の回想シーンがカットバックで挟まれる。
それはあまりにも初々しくて、胸がきゅんとなるくらいのエピソードの数々。


福山雅治』が一発は当てたものの、その後は鳴かず飛ばず
過去の恋に拘泥するうじうじとした中年男を好演。

そんな『乙坂』が、何を思ったか突然に行動力を見せたことから
物語は大きく回り出す。

過去と現在が交錯し、知らずにいた事実が互いに共有され
幾つものわだかまりも浄化されるのだが・・・・。


後悔は先に立たず、過去は変えることはできない。

登場人物の科白ではないけれど
「もうちょっと早く(来てくれていたら)」。

それでも最後のシークエンスで
監督は明日への希望を提示する。

それは今生きている人への温かいエールにも取れる。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


狂言廻しを演じた『松たか子』が抜群の出来。
ちょっと天然な、それでも乙女の心を無くしていない
中年のおばさんを嫌味なく演じて。

加えて『庵野秀明』『小室等』『水越けいこ』『鈴木慶一』といった
演技素人の使い方が『岩井』監督は巧いなぁと再認識。
しかもほぼほぼミュージシャンだし。

そう言えば『さとう宗幸』も高校の先生役で出ていたっけ。