RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

三度目の殺人@109シネマズ川崎 2017年9月10日(日)

封切り二日目。

席数246の【シアター1】の入りは九割ほどと盛況。


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強殺事件の裁判員裁判

弁護を引き受けた『重盛(福山雅治)』は
容疑者『三隅(役所広司)』の二転三転する供述に翻弄される。


最初のうちは、あくまでも裁判の勝ち負けにこだわっていた『重盛』は
『三隅』の人となりに触れ過去を知るに連れ、態度が変って行く。

やがて幾つかの新しい証言が披瀝され、それを受ける様に
容疑者が供述を大きく変えたことから
『重盛』は一つの賭けに出る。


裁判は事実を積み上げて量刑を決める場であり、
真実がどうであったかを明らかにする場ではない。

加えてできるだけ数を多くこなすために
検察・裁判所・弁護が慣れ合い、
システム化される問題も孕んでいる。

自白偏重の、または予断による判決も度々耳にすること。

究極的には、死刑制度の是非。

そういった幾つかの命題をまるっと一つに纏めて
本作の物語りとしている。


『三隅』は三十年前に、やはり強殺で二人を殺め無期刑で服役。
ただその事件にも実は、表沙汰にはなっていない背景が有ったことが
やがて浮き彫りになる。

今回の事件が二度目の殺人。

じゃあ、タイトルは何故三度目なの?が
観客に問いかけられた一つの綾。


真実を求める『重盛』に対して
容疑者の『三隅』も被害者の妻と娘も
皆が皆何かしらの嘘をついている。

それらはまさに〔藪の中〕、
何が真相なのかは判然としないように見えるものの、
実は物語の終盤に至り、コトの次第がはっきりとして来る。

此処では幾つかの幻想的にも見えるシーンに
惑わされないのが大事。

そして我々は、究極のサクリファイスに向き合うことになる。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆★。


最初は怜悧でクールにも見えた『重盛』が
次第に人間臭く変って行くのが見所の一つ。

ただそのために、
彼の(離れて暮らす)娘を被害者の娘と同年齢にし、
容疑者にも娘が居る設定にしているのは、
ややあざといかも。