封切り三日目。
席数159の【SCREEN3】の入りは六割ほど。
かなりびっくり!まさかこんなところで脱ぐなんて。
『河合優実』も現時点で二十三歳か。
既に二十本以上の映画作品に出演し、
主演は〔少女は卒業しない(2023年)〕
〔あんのこと(2024年)〕の二本のみだが(除く本作)、
〔由宇子の天秤(2021年)〕
〔PLAN75(2022年)〕
では印象的な役をこなしている。
なので、なぜこのタイミング?と、首を傾げる。
今を時めく女優さんなら、
『麻生久美子』は、映画四本目の〔カンゾー先生(1998年)〕
『吉高由里子』は、九本目の〔蛇にピアス(2008年)〕
『安藤サクラ』は、十二本目の〔ケンタとジュンとカヨちゃんの国 (2010年)〕
『真木よう子』は、十三本目の〔ベロニカは死ぬことにした (2005年)〕
等が、記憶に残るところ。
何れも強烈なインプレッション。
対して、今回のそれは日常の(あまりに)さりげない一コマで、
必要性さえ疑問に思える。
お話し自体は、二十一歳の『カナ』がひたすら周囲を振り回す。
エキセントリックな言動は、彼氏、友人、職場にも軋轢を生む。
とりわけ彼氏は、
とことん優しく彼女のことを第一に考える『ホンダ(寛一郎)』と同棲しながら、
『ハヤシ(金子大地)』に平然と二股を掛ける無体な仕打ち。
『カナ』のやり場の無い憤懣の一部は理解可能。
『ハヤシ』の親族が集まったバーベキューパーティの場での疎外感。
自身が務める美容脱毛のサロンに、効果の疑いもなく通う客たち。
己の空虚さは自覚しつつ、
奥底から湧き出す漫然とした怒りが抑えられない。
ナミブ砂漠は世界で最も古い砂漠と考えられていると聞く。
彼女の思いは全ての人の心の奥底に潜む
原始的な感情なのだろう。
終いには今カレへの暴言と暴力の形で発露する、
が、不思議なコトに別れバナシに繋がることはない。
異常性に目を瞑りたくなるほど、魅力的な女性ということか。
まさに『河合優実』に当て書きしたよう。
評価は、☆五点満点で☆☆☆★。
冒頭のシーンからユニークな語り口は満載。
主人公たちの会話と同じ音量で
周囲の会話も耳に入って来るのは一例。
『カナ』の怒りに火が付く、次のシーンへの導入部の意味合いはあるにしろ
極めて異色な処理。
生活音もBGMのように流れ続け
途切れることなく我々の耳に届く。
鑑賞者はそれらを、どう受け止めればよいか。
つい、目の前のシーンに紐づけ、
何らかの意味合いを見つけ出そうとするのだが・・・・。