封切り二日目。
席数89の【シアター9】の入りは四割ほど。
行ったことはないけれど、物語の舞台となる「パリ13区」は
人種の坩堝のよう。
主要な登場人物の肌の色は、白色・黄色・黒色と
(勿論、映像自体はモノクロームなので、しかとは確認できぬが)多彩。
そうした男女が、文字通りくんずほぐれつしながら
愛憎をぶつけ合う。
さすが「R18+」だけあって、その種のシーンは多々。
オマケにちょっとした暴力やクスリの摂取もあり、
なるほどと納得のレイティング。
然は然り乍ら情緒的な側面だけでなく、
大学を卒業しても、
ロクな就職先も見つけられずにいる若者が置かれている社会状況をもさらっと、
しかし舌鋒鋭く描写する。
それにしても、本作での主人公達は
まるっきりのニンフォマニア・サチリジアスのよう。
盛りの付いた猫の如く、あっという間にセックスをする関係になるのに、
しれっと「愛情は無い」などと言い放つ。
人間としてどうなのよ?!と思いつつ、
これが彼の地の流儀であるのなら、
ちょっと羨ましく感じたのも事実(笑)。
そうした鞘当てにも似た感情をぶつけ合い乍ら、
やがては真実の愛情へと辿り着く。
成就したあとのカタチがあまりにも眩しく、
そして多幸感に満ち溢れている描写なのは
期待が持てる未来への
制作者たちからのはなむけなのだろう。
評価は、☆五点満点で☆☆☆★。
直近で『ケネス・ブラナー』が故郷の「ベルファスト」を描いたように、
監督の『ジャック・オーディアール』が
生まれ育った街そのもと
そこに住まう人々にオマージューを捧げた一本と見て取れる。