RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

カモン カモン@TOHOシネマズ日本橋 2022年4月22日(金)

本日初日。

席数213の【SCREEN6】の入りは二割ほど。

 

タイトルの「カモン カモン」は劇中の科白から。

字幕では「前へ、前へ。」と訳されており、
その言葉通り、多くの年少者達の未来の可能性を感じさせる内容。


『ジョニー(ホアキン・フェニックス)』は
国中の若者にインタビューをし、その声をラジオで放送しているジャーナリスト。

そんな彼が、近頃では疎遠になっていた妹からの頼みで
甥の『ジェシー』を預かることに。

仕事柄、旅に出ることが多い『ジョニー』は
やむなく甥を同伴させる中で、
最初はぎこちなかった二人が
次第に深い絆で結ばれるようになるさまが描かれる。

それと並行し、妹との関係も。
彼女とぎこちなくなった遠因には、母親の介護があり、
そのわだかまりが氷解する触媒としても幼い甥が機能する。


一種のロードムービーであり、またファミリー・プロットからの再生なのだが
全体として観た時に、平板な描写が続き、ややぼやけた印象。

突然の妻の出奔により、止む無く男手一つで幼い息子を育てる仕儀となった
クレイマー、クレイマー(1979年)〕を重ね合わせて観る。

互いの絆が深まるとの帰結は共通も、
前作には家事の熟練との明確なターゲットが設定。

それを象徴する「フレンチトースト」を作る過程の描写比較が見事だったわけだが、
本作ではそれに相当するエピソードが見られない。

食事も外食や店屋物ばかりで、あまつさえ、面倒を見るのも時として知人任せ。

なのに二人が肝胆相照らす仲になる過程がどうにも弱く、
なんと無くずるずるとそうなってしまったかの印象。

イマっぽいと言ってしまえば、それ迄なのだが。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


劇中で使用されているインタビューは、
どうやら俳優によるものではなく、
素人の少年・少女達に行った一部始終を、そのまま使用しているよう。

ハリウッドを代表する俳優に向き合えるのは光栄だろうけど、
それにも増して皆々の受け答えが実にしっかりとし、
物事を鋭く捉えているのは大したもの。

自分が若年の頃と比べても、
圧倒的に優っている(笑)。

最近の子供達は、
随分と大人びているのだなぁ。

そして冒頭に挙げた「未来の可能性を感じさせる」背景の多くは
この部分に依っているのだが。