本日初日。
席数213の【SCREEN6】の入りは二割ほど。
タイトルの「カモン カモン」は劇中の科白から。
字幕では「前へ、前へ。」と訳されており、
その言葉通り、多くの年少者達の未来の可能性を感じさせる内容。
『ジョニー(ホアキン・フェニックス)』は
国中の若者にインタビューをし、その声をラジオで放送しているジャーナリスト。
そんな彼が、近頃では疎遠になっていた妹からの頼みで
甥の『ジェシー』を預かることに。
仕事柄、旅に出ることが多い『ジョニー』は
やむなく甥を同伴させる中で、
最初はぎこちなかった二人が
次第に深い絆で結ばれるようになるさまが描かれる。
それと並行し、妹との関係も。
彼女とぎこちなくなった遠因には、母親の介護があり、
そのわだかまりが氷解する触媒としても幼い甥が機能する。
一種のロードムービーであり、またファミリー・プロットからの再生なのだが
全体として観た時に、平板な描写が続き、ややぼやけた印象。
突然の妻の出奔により、止む無く男手一つで幼い息子を育てる仕儀となった
〔クレイマー、クレイマー(1979年)〕を重ね合わせて観る。
互いの絆が深まるとの帰結は共通も、
前作には家事の熟練との明確なターゲットが設定。
それを象徴する「フレンチトースト」を作る過程の描写比較が見事だったわけだが、
本作ではそれに相当するエピソードが見られない。
食事も外食や店屋物ばかりで、あまつさえ、面倒を見るのも時として知人任せ。
なのに二人が肝胆相照らす仲になる過程がどうにも弱く、
なんと無くずるずるとそうなってしまったかの印象。
イマっぽいと言ってしまえば、それ迄なのだが。
評価は、☆五点満点で☆☆☆★。
劇中で使用されているインタビューは、
どうやら俳優によるものではなく、
素人の少年・少女達に行った一部始終を、そのまま使用しているよう。
ハリウッドを代表する俳優に向き合えるのは光栄だろうけど、
それにも増して皆々の受け答えが実にしっかりとし、
物事を鋭く捉えているのは大したもの。
自分が若年の頃と比べても、
圧倒的に優っている(笑)。
最近の子供達は、
随分と大人びているのだなぁ。
そして冒頭に挙げた「未来の可能性を感じさせる」背景の多くは
この部分に依っているのだが。