本日初日。
舞台挨拶中継付きの回で鑑賞。
客層の偏りは激しく
九割方は女性。
イケメン男優が多く出演する、その影響かしら。
それでも、
席数349の【シアター6】の入りは八割ほど。
どこまでが原作の設定で、
どこからが制作陣の創意かは分からぬが、
映画としての造り込みは雑然としており、
監督の『蜷川実花』と脚本の『吉田恵里香』による
かなり微妙な出来の一本。
長巻コミックの世界観と主要な登場人物、
印象的なエピソードを取り上げ、
巧く組み上げようとの意図も、
キャラクターやその人となり、人間関係の全てに於いて説明不足で
ストーリーがすっと頭の中に入って来ず。
ため、物語の流れも不自然な語り口となり、
尺も二時間に足りてないのにかかわらず、
時として冗漫、時として唐突で挿話間の繋がりも悪く
全体的にぎくしゃくした印象。
短尺のPVをただひたすら積み重ねている様にすら見え。
直近では、昨年公開の〔ホムンクルス〕で同様の感想を持ったが、
コミックの映画化では、ありがちな宿命かもしれぬ。
まずもって『四月一日(神木隆之介)』が見えるとされている「アヤカシ」なるものは
どうやら「妖」ではない様子。
人が持つ悪意や、宿痾が実体化したもののようだが
冒頭のシークエンスからはとてもそうとは思えず、
以降の挿話を悉くミスリードする逆効果。
また、日にちのループに纏わるシークエンスの
各人の役どころが判然とせず、
相当に判りにくく。
ウリとしている独自の映像美にしても、
本作ではさほどのインパクトはなく、加えて
鍵となる小道具の使途も首を傾げるシーンが多々。
評価は、☆五点満点で☆☆☆。
「構想十年」や「不可能と言われた作品の実写化」あたりがキャッチとなっているが、
出来上がったのはまるっきりの自己満映像。
〔人間失格 太宰治と3人の女たち(2019年)〕は上出来だったのにねぇ。
上作を続けてリリースすることの難しさを
改めて思った次第。
幾つかの収穫は、カメオ出演的に登場した『橋本愛』を見られたことと、
露出の多いコスチュームの『吉岡里帆』を堪能できたことくらいか。
もっとも、原作を読み込んでいるファンからすれば
また違った思いを持つのだろうが。
「等価交換」「ループ」等、やや手垢の付いた要素は
判り易いし。