RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

コーダ あいのうた@TOHOシネマズ日本橋 2022年1月23日(日)

封切り三日目。

席数143の【SCREEN9】の入りは八割ほど。

 

f:id:jyn1:20220125074939j:plain

 

原典は2014年のフランス映画〔エール!〕。

当該作品は公開時に劇場で観ており、
その時の記憶も重ねて鑑賞する。

幾つかの設定変更、
物語の舞台を農家から漁師へ、
男兄弟の存在を弟から兄へ、
主人公が目指すものをコンテストから大学合格へ、
はあるものの、
それ以外はほぼ忠実になぞり進行する。

なのでやはり、家族を前に『ルビー(エミリア・ジョーンズ)』が
歌い上げるシーンでは、思わず涙が溢れ出てしまう。


冒頭のクレジット、及びエンドロールでは
良好な関係の元に、本歌取りをした旨が繰り返し流される。

それでもやはり、お国柄とでも言うのか、
細かい描写の差異が、観終わった後の印象を
少し違ったものにしている。

とりわけ、かなり人間臭い家族描写は特徴的。
聾唖者特有の葛藤を除けば、
それ以外は当たり前の様に聞こえる人々と何らの違いはないことを
改めて強く打ち出す演出の数々。

それには家族を演じた俳優陣が
実際に聴覚に障害があることが影響しているのかもしれない。

またBGMも含めた選曲の妙は
パート・パートに合わせた、
しかも馴染みのある曲が流れるので、
より感情移入をし易い。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


タイトルの「コーダ/CODA」は
聾者の親を持つ聴者の意と聞いている。

略称が作られるくらい、多くの事例が存在するとの証左なのだろう。

本作の主人公は、家族の通訳者として
暮らしを成立させるための欠かせぬ存在との設定。

日本でも最近、「ヤングケアラー」ついての報道が多いけれど、
それと重ね合わせ、『ルビー』の境遇を見てしまうのだ。