RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

恋する寄生虫@チネチッタ川崎 2021年11月13日(土)

封切り二日目。

席数154の【CINE9】の入りは二割ほど。

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「ロイコクロリディウム」は蝸牛に寄生し
その運動ニューロンを制御する。

最終的な宿主である鳥に捕食させるため
見つかり易い形に外見を変化させ
行動すらも変容させる。

たかが寄生虫とて侮れない好例とも言える。


『高坂賢吾(林遣都)』は幼くして両親を自殺で亡くして以降
極度の潔癖症が止まらない。
対人関係にも障害で、家に引き籠り、プログラムの制作に日々を過ごす。

もう一方の『佐薙ひじり(小松菜奈)』はやはり
幼い頃にシングルマザーの母親を亡くしてから
視線恐怖症に苛まれる。
しかし実際のその症状は
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い (2011年)〕で描かれた
アスペルガー症候群」に近いのかもしれない。


そんな二人がひょんなことから出会い、しかし
以降ついては仕組まれて逢瀬が重ねられる。

その背景には『ひじり』の祖父である
『瓜実(石橋凌)』の画策があり、
二人の脳に巣食っている寄生虫を駆除するための手段であったことが
次第に明らかになる。


中途、中国の伝説上の生き物である
片翼隻眼の「比翼の鳥」の事例が引かれる。

男女の仲が睦まじいことの比喩でもあると同時に
この鳥が現れた時には厄災も起こり
これがラストのシークエンスへの布石ともなっている。


しかし全体を通してみた時に、
寄生虫を駆除するために二人の関係を進ませることの説明が
どうにも釈然とせず。

また『プラトン』が〔饗宴〕で描いた様に、
元々の人間は頭が2つ、手が4本、足も4本有ったものを
神によって半分に引き裂かれたため、その半身を求める
との考察もあり、とりたてて新規の論説とも思えぬ。


寄生虫が外見や行動を変えてしまうのは
冒頭述べた通りアリなのだが、
この二人の場合、基本引き籠ってしまうのだから
出会いの機会が減り、子孫を残すことに支障も出、
論理的にも破綻している気もするのだが。

また数度の邂逅であまりに早く症状が改善してしまうのも
性急に過ぎる感覚があり。

原作ではこの辺り、より合理的な説明がされているのだろうか。
100分との尺もあり、どうにも消化不足の感が否めない。


評価は、☆五点満点で☆☆☆★。


小松菜奈』は先の〔ムーンライト・シャドウ〕もそうだが
もうちょっと出演作を選んだ方が良いでは。

とは言え次作の〔余命10年〕は
たぶん観に行ってしまうのだが(笑)