RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

花束みたいな恋をした@TOHOシネマズ錦糸町 楽天地 2021年1月29日(土)

封切り二日目。

席数349の【SCREEN9】の入りは二割ほど。

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役どころとはいえ『有村架純』といちゃいちゃできるなんて
なんて羨ましいんだ!『菅田将暉』とやっかみながら劇場に足を向ける。

しかしストーリーが進むにつれ
漫然と観ることが辛いほど
胸を締め付けられてしまった。


何となれば、この一連の流れは
三十年ほども前に自分も経験したことだったから。

勿論、こんなに美男美女のカップルではないし(笑)、
好みがここまで合致した相手ではなかったけれど。


趣味や嗜好がぴったり合う二人が
ボーイ・ミーツ・ガール宜しくひょんなことで出会い恋に落ち
同棲をしつつもやがて行き違いが生じ分かれてしまう。

どの時代でもどんな場所でも、ごくごくありきたりにある恋愛模様

けれど自分の記憶に重ね合わせると
それだけでもう切なさがせり上がって来る。


行き違いが生じたきっかけは、
やはり仕事の多忙さだったか。

でもそれ以前から少しづつ、
考え方や望む方向性に乖離が生じていたのではなかったか。

今となっては、ある意味
必然の帰結だったと思わぬでもない。

そして後悔もしていない、ただ記憶だけが残っている。


おっといけねぇ、年寄りの繰り言になってしまった。


本作では主人公達が共に過ごした五年間を
印象的なエピソードを散りばめ乍ら
しかし軟らかい景色を背景に描き出す。

あくまでもオハナシの世界でありながらも
妙に郷愁を感じてしまうのはそのせいか。

誰でもが経験のある会話やシーンが
絶妙の配分で組み込まれる。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


そして二人の別れの場面の描き方もまた鮮やか。

まだ馴れ初めて間もない二人が、
互いのことを知るために会話を重ね
やがて寄り添い、その先は・・・・、と
かいぐりかいぐり繰り返される世の習いを
再びさらっと提示する。

それも次世代を担うであろう『清原果耶』をキャスティングして。

監督の『土井裕泰』も、脚本の『坂元裕二』も
最後まで陶然とする素晴らしい一本に仕上げたと、
文字通り花束を贈りたい。