本日初日。
席数246の【シアター1】の入りは二割弱ほど。
客層は若年~中年の女性が多く、
W主演の男優目当てだろうか。
推理小説を読んでも、真犯人や動機、トリックについては
ほぼほぼが終幕迄判らない凡悩な自分。
それでも本作では、
かなり早いタイミングでそれらが透けて見えてしまう。
とは言え、不正義を正す為に
(失礼な言い様だが)そこまでするか?との常識的な疑念がふつふつと湧き
自身の予想も半信半疑に思える側面もあり。
ただそれこそが、制作サイド仕掛けた
最大の罠なのかもしれぬが。
エンディングに向けてカードを少しづつオープンして行き
最後にあっと思わせるのは常套手段。
現在の中に過去のエピソードを絡めながら
お話の発端からを描き出す。
鑑賞者をミスリードさせる表現も適宜まぶし、
幾つかの伏線も織り込みつつ展開。
各々のパーツは巧く造り込まれてはいるが、
語り口はあまりスムースとは言えず。
模糊とした表現も一つの手技だろうけど、
何れにしろ我々は幾つものシーンを整理して
再構成する必要がある訳で。
過去の場面は
主要な登場人物である『キダ』『マコト』『ヨッチ』の馴れ初めから。
境遇の似た二人の男児と一人の女児は堅い友情を結び
それが現在へと繋がって行く。
その絆の深さが一つキモになるものの、
鍵となるエピソードに欠けており、
入れ込みの強さが(エンドロール後のシーンも含め)釈然としないのが
一番の脚本の弱さ。
現在の場面では長じた『キダ(岩田剛典)』と『マコト(新田真剣佑)』の二人が
何らかの思惑の基に動いている。
目的や背景は全く不明で、
その二つが明らかになる迄がサスペンス。
ここで幾つかの設定の弱さが露呈する。
とりわけ政治のチカラを強く出し過ぎていることがその最たるもの。
地方行政の端々迄いちいち膾炙できないだろうとの思いは、
特に最後のシークエンスに付いて回る。
評価は、☆五点満点で☆☆☆★。
まぁ観客を一番困惑させるのは
例によって予告編の作りと本編との乖離に在る訳で。
どれだけ大きな陰謀が動いているのと期待しながら注視しても
一向にその影が見えて来ぬ、どうにも肩透かし。
結末には竜頭蛇尾な思いを持ちつつも、
最初から違った眼鏡を掛けて観ていれば
受け取る印象はもっと違ったかも。