封切り二日目。
席数118の【シアター3】の入りは三割ほど。
原作はイタリア映画の〔おとなの事情〕と聞いている。
一夜の会食に集まった男女が互いのスマホをオープンにするゲームをきっかけに
各人の思わぬ行いや裏の顔がぼろぼろとさらけ出され騒動となる
所謂ワンシチュエーションコメディ。
ここではそのフォーマットだけを使用し、
細かな設定は日本風に翻案。
脚本を担当した『岡田惠和』の腕が冴えた一本仕上がっている。
原典は未鑑賞なので、各所からの情報を総合すると
付け加えられたのは七人の男女が集まることになった前日譚。
三組の夫婦と一人の独身男の組み合わせは
年齢にも隔たりがあり、普通であれば違和感がある。
それも会話からすると、こういった会合を定期的に何年も続けている様子。
ただその契機となった出来事があることで、
互いの関係性の理解とラストのシークエンスの余韻がより深くなって来る。
発端は件のグループ内の、もっとも若い妻『杏(木南晴夏)』が夫婦の在り方に疑念を持ったこと。
晒されて困る秘密はないとの言い分と、スマホの通信の中身をオープンにするのは
ややの強引さを感じるものの、まぁそこはオハナシで。
プロローグ部分でも各人の怪しい行動は描かれたわけだけど、
その前振りを回収する暴露が噴出し着信音が鳴り響く度に
会食の場は凍り付く。
勿論、鑑賞者はそれを見て大笑いするわけで。
披瀝されるエピソードは、極々軽いものから
ずしんと重いものまで様々。
最初はジャブ程度であったものが、次第にストレートやアッパーになり
とどめはクロスカウンターに仕上がって行く過程は、
ボクシングの試合を彷彿とさせる流れ。
それも泥仕合に近いかも。
評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。
夫婦と言えども大なり小なり
秘密の一つや二つ、
中には言い出しそびれ、ついそのままになっているものもあるだろう。
それをカリカチュアライズすると、ここまで面白い一本に仕上がる、
なるほどアイディアの勝利と思う。