RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

おとなの事情 スマホをのぞいたら@109シネマズ川崎  2021年1月9日(土)

封切り二日目。

席数118の【シアター3】の入りは三割ほど。

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原作はイタリア映画の〔おとなの事情〕と聞いている。

一夜の会食に集まった男女が互いのスマホをオープンにするゲームをきっかけに
各人の思わぬ行いや裏の顔がぼろぼろとさらけ出され騒動となる
所謂ワンシチュエーションコメディ。


ここではそのフォーマットだけを使用し、
細かな設定は日本風に翻案。

脚本を担当した『岡田惠和』の腕が冴えた一本仕上がっている。


原典は未鑑賞なので、各所からの情報を総合すると
付け加えられたのは七人の男女が集まることになった前日譚。

三組の夫婦と一人の独身男の組み合わせは
年齢にも隔たりがあり、普通であれば違和感がある。

それも会話からすると、こういった会合を定期的に何年も続けている様子。

ただその契機となった出来事があることで、
互いの関係性の理解とラストのシークエンスの余韻がより深くなって来る。


発端は件のグループ内の、もっとも若い妻『杏(木南晴夏)』が夫婦の在り方に疑念を持ったこと。

晒されて困る秘密はないとの言い分と、スマホの通信の中身をオープンにするのは
ややの強引さを感じるものの、まぁそこはオハナシで。

プロローグ部分でも各人の怪しい行動は描かれたわけだけど、
その前振りを回収する暴露が噴出し着信音が鳴り響く度に
会食の場は凍り付く。

勿論、鑑賞者はそれを見て大笑いするわけで。


披瀝されるエピソードは、極々軽いものから
ずしんと重いものまで様々。

最初はジャブ程度であったものが、次第にストレートやアッパーになり
とどめはクロスカウンターに仕上がって行く過程は、
ボクシングの試合を彷彿とさせる流れ。
それも泥仕合に近いかも。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


夫婦と言えども大なり小なり
秘密の一つや二つ、
中には言い出しそびれ、ついそのままになっているものもあるだろう。

それをカリカチュアライズすると、ここまで面白い一本に仕上がる、
なるほどアイディアの勝利と思う。