RollingStoneGathersNoMoss文化部

好奇心の向くままどたばたと東奔西走するおぢさんの日記、文化部の活動報告。飲食活動履歴の「健啖部」にも是非お立ち寄り下さい

火口のふたり@チネチッタ川崎 2019年8月23日(金)

本日初日。

席数138の【CINE3】の入りは七割ほど。


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多くの女優さんにオファーしたものの
そのカラミのシーンの過激さに軒並み拒否され
ようやく『瀧内公美』にOKを貰った、と。

なので「R18+」のレイティングがきっちり付き、
その場面見たさの目をぎらぎらと光らせたおぢさん達で館内は占拠されていると思いきや、
若めのカップル、ちょっと歳の行った夫婦、お独り様の女性、と
客層は多様で、正直、驚いてしまう。

まぁこれも時代なんだろうね。


結婚を目前にした『直子(瀧内公美)』が、
式に参加するために帰省した『賢治(柄本佑)』に
「今夜だけ、あの頃に戻ってみない?」と声を掛けたことから、
焼け木杭には火が付いた様に、式迄の五日間をさかりのついた猫よろしく
ひたすら食べて、セックスをしまくる二人。

それは時を選ばず、えっ、こんな処で!?と驚く場所でもコトに及ぶ。


もっともこの二人は、思春期にも馴染みであり、
東京でも同じように暮らしていたことがおいおい語られる。

また会話の端々から、思わぬ関係性も明らかになり、
性愛に耽溺する理由も、僅かながらに理解される。


男の考え方と女の感じ方、
一旦別れた時には互いの心中を吐露することはなかったのに、
数年を経て体を重ねあい、言葉も重ねることで
過去のわだかまりが氷解し、新しい思いが湧き上がる。

それが「東日本大震災」からの再生と相まって、
新たな胎動を感じさせる。

男女の交わりは、短い死と生の繰り返しであり、
中途挿入される「亡者踊り」の情景も
それを指し示しているのだろう。


評価は、☆五点満点で☆☆☆☆。


ロマンポルノから始まって脚本は多いもののも、
監督作はまだ三本の少なさ。

それでも特殊な環境下に置かれた男女の愛欲をテーマに描き続ける
荒井晴彦』はもう七十歳を超えてはいるけれど、
バイタリティーはまだまだ衰えぬ。

今後の作品にも期待は大。